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ハイグレクエスト 最終話

毎度ありがとうございます。ぬ。です。
みなさんのお力で遂にここまで来ることが出来ました。これまでの感想、コメント、応援……本当に本当にありがとうございました(つД`)
最終話は何度も書いては直し書いては直しを繰り返しました。しっかり終わらせるというものは、ある意味では物語を書き始めるより難しいものですね…。
果たしてキチンとまとめることが出来たのか、今でも自信はありません。でも何度もちゃぶ台をひっくり返すうちに最初よりはマトモになったかなと感じています。
少しでもハイグレファンのエネルギーになれたら、ちょっとでもハイグレ大好き野郎たちの燃料になれたら本望です。

グチグチと長くなってしました
それでは最終話どうぞ(つД`)9m

 声が枯れるほどの勇者の叫び声に驚いたのはハイグレ人間たちだった。思わずハイグレ魔王のもとへと駆け寄ろうとするのを、ハイグレ魔王の命令には絶対服従という本能によってなんとか踏みとどまった。
 当のハイグレ魔王はレナの一閃をバックステップで軽くかわしていた。縦、横、縦と繰り出される攻撃は、太刀筋を見切られてひょいひょいと避けられてしまう。
「これでどうだああああ!」
 アクション・ソードの切っ先がピンク色に光る。真横に鋭く振り抜くと、剣から放たれたビームが弧を描いてハイグレ魔王を目掛けて走っていく。

「ッ!!」

 軽快にステップを踏んでいたハイグレ魔王も、この攻撃はさすがに簡単には避けきれず身を仰け反らせた。体制を戻すと漆黒のマントが斜めに切られていた。黒い布はぽさりと床へ落ちて、青白い肌とピンク色のハイレグ水着の一部が露わになった。

「どうやら本気を出さなきゃいけないようね」

 ハイグレ魔王は無事だった残りのマントも乱暴に投げ捨てる。鍛えられた細身の引き締まった肉体が姿を現した。平らな胸板と膨らんだ股間がオカマだということを改めて感じさせるが、仮面へと伸びる指は細長く男性らしくなかった。

「んふっ」

 ベールを脱いだ素顔は中性的な顔立で、黙っていれば危うく女性と見間違えてしまいそうだった。ハイグレ人間たちからも「お美しい……」と感嘆の声が思わず漏れる。レナはハイグレ魔王からウインクを送られたがこれを無視した。

「私は最初からずっと本気だったよ」

 ピンク色に煌めく剣をハイグレ魔王に向けたままレナが言う。あのオカマは隙があるようで全くない。マントと仮面を脱いだことでより身軽になってしまったのは厄介だった。

「言うじゃない。じゃああたしの本気も見てもらおうかしら」
 ハイグレ魔王の手にはいつの間にか1本のロングソードが握られていた。

「きゃっ!?」

 ハイグレ魔王は素早く間を詰めレナへと切りかる。レナは正面で受けるのが精一杯だった。

「どうやらアンタには普通の剣で十分みたいね」
 華麗な剣捌きで次々と攻撃を繰り出して行くハイグレ魔王。それでもレナは焦らず的確に攻撃を避けたり、アクションソードを盾にするようにして攻撃を受け止めていく。
「ふふっ避けてるだけじゃ……勝てないわよ!」
「うう……」
 しかし防戦一方のレナは次第に壁際へと追い詰められていく。逃げ場を失うまでに起死回生の一手を打たなければ。

「どうしよう……」
 ついに壁際まで追い詰められてしまった。

「あっけなかったわね。これで終わりよ!」
 ハイグレ魔王が両手で剣を天井高く振り被った。レナは剣をマイナスに防御の体制に入る。ゴキンという金属同士が強くぶつかり合う鈍い音が聞こえた。しかし手に伝わる衝撃がない。レナが目を開くと、唖然としているハイグレ魔王の顔が見えた。激しい音とは裏腹にアクション・ソードには傷ひとつついていなかった。しかし、ハイグレ魔王の剣は真っ二つに折れていた。
 呆然を剣を見つめているハイグレ魔王。反撃するなら今しかない。レナはガムシャラに剣を振り回した。四方八方に弓形のビームが飛び交う。

「チッ」

 ハイグレ魔王は一旦退く。しかし、剣を失い無防備な状態は続いている。

「うああああああ!!」
 今度はレナがアクション・ソードを思い切り振り振り下ろした。金色のビームは完璧にハイグレ魔王を捉え、床を這うようにして進んでいった。

「しまった…‥! ギャアアアアアアアア!!」

 ビームはハイグレ魔王まで到達すると激しい閃光を発して爆発した。土埃が巻き上がり、城全体が唸りを上げて揺れた。

「はぁ……はぁ……ふう」

 レナは手の甲で額の汗を拭う。これで全てが終わる。元の世界に帰れるかはわからないけど、また友達とおしゃべりが出来る。大変な戦いだったねと仲間と笑い合える。



「全力のアクション・ビームだなんてヒドイじゃなあい」

 煙の中から伝ってくる甘ったるい声。攻撃が直撃したはずのハイグレ魔王の声だった。

「そんな……」

 煙の中から現れたハイグレ魔王は無傷でピンピンとしていた。手応えは完璧だった。倒せなかったとしても無傷でいられるわけがない。
「あれは……」
 見覚えのある魔法陣が描かれたシールドが幾重にも重なりハイグレ魔王を守っていた。レナはハイグレ人間たちを見る。全員が両手を掲げてハイグレ魔王を守っていた。

「約束と違うじゃない!」

 レナが怒鳴る。怒りはハイグレ魔王とハイグレ人間たち双方に向けられていた。

「ごめんなさいね。あたしは手を出すなって言っておいたんだけど。まったく出来の悪いしもべを持つと苦労するわ」
 ハイグレ魔王の口ぶりからは一切、反省している様子はない。
「みんなを操ってるのはあなたでしょう! 約束を破ったんだから私の勝ちよ!」
 レナは再びハイグレ魔王へと剣を突き立てる。

「約束ゥ? そんなのど〜だっていいじゃない。ハイグレ人間は私の所有物よ。アンタでいうアクション・ソードみたいなもの。道具をどう使おうがあたしの自由でしょ?」
 開き直った侵略者は挑発するように右手を頭上でヒラヒラと泳がせる。
「女と女の約束っていったのはあなたでしょ!?」
 レナの怒りは頂点に達していた。アクション・ソードがピンク色の光をメラメラと発している。

「悪いィ? あたしはオ・カ・マよ」
「なっ!?」
 両手を直角に曲げて卍ポーズをとったハイグレ魔王は、捨てゼリフを吐くと手足をぐりゃりと変形させた。頭も尖り、端正で中性的だった顔は見る影もなくなっていた。紫色のヒトデのようなボディに変体したハイグレ魔王は、四肢をクネクネと真似がながら、じわりじわりレナへと迫っていく。

「くっ!」

 追い払うように剣を一振り。ビームの一閃がヒトデへと直撃した。

「ぎやあああああ!!」

 今度はシールドも間に合わず、ハイグレ魔王はアクション・ビームの光に完全に包まれ、大の字になって悲鳴を上げた。更に追い討ちをかけるため、レナは剣を垂直に振り上げた。
「これで……なっ!?」

「な〜んてねッ。ヒドォイじゃなぁい」
 両腕を上げたレナの視界に入ってきたのは、ビームの光を帯びながら、ずんずんと前進してくる化け物だった。
「この程度の攻撃じゃあたしは倒せないわよぉ」
「あっが……ぐえう……」

 ハイグレ魔王の両腕がガラ空きだったレナの首へと絡みつく。

「なん……で……け、剣の力も解放してあるのに……」

 
「アクション・ソードはもう解放時の力を出すことはできないよ」
 ソニアが楽しそうに言った。首を絞められるレナを見て笑っている。

「ホホホ。ハイグレ人間ソニア。間に合ったようね」
 ハイグレ魔王は自分へと従順に尽くす黄色いハイグレ人間へと微笑みかける。
「ハイグレッハイグレッ。全てはハイグレ魔王様のために! サーラとノクスの魔力を失った剣はもはやハイグレ魔王様にとって脅威でも何でもありません」
 ソニアは跳ねるようにハイグレポーズを行った。レナは身動きが取れず、ソニアの様子をただ眺めているしかなかった。

「いまアクション・ソードがかろうじて機能しているのは勇者本人の魔力……つまりレナの意思の力のみです」
 苦しそうにもがくレナを確認すると、ソニアの表情はより緩む。
「勇者レナの心が魔王様に敗北を認めたとき、アクション・ソードとの契約は解かれ、剣の加護は消滅します。ハイグレッハイグレッ」
 ソニアは自分の発言の内容に感極まり、堪らずハイグレポーズを行った。レナがハイグレ人間になる姿を想像して疼く股間をハイグレによって慰める。
「レナもついにハイグレ人間に……ハイグレェ、ハイグレェ」

「わ、私は……絶対に……諦め……ない……!」
 レナが必死に声を絞り出す。ハイグレ魔王に首を掴まれたままで、頭上に掲げるアクション・ソードを振り下ろすことはおろか、まともに言葉を発することもできない。

「勇者様はこうおっしゃっているけど?」
 ハイグレ魔王はワザとらしくしもべに聞いた。
「ならば諦めさせれば良いだけです」
 ソニアは満面の笑みで答えると、ゆっくりとレナの正面へと進み出た。












 もはや脅威でなくなったと判断したハイグレ魔王は、彼女の首を掴んでいた手を離した。
「うっ……ゴホッ……ゴホ……」
 床に投げ捨てられたレナはずっと絞められていた首を両手で押さえて咳き込んだ。呼吸が落ち着く頃には、周りをぐるりとハイグレ人間たちに囲まれてしまっていた。

「ソニアちゃん、リンちゃん、ルルちゃん、ノクスちゃん、サクラちゃん、ツバサちゃん……」
 無表情で自分を見下ろすハイグレ人間たちの名前を呼ぶ。

「……エレスちゃん」
 レナの背後に立っていた少女の名前を呼んだ。真っ黒なハイレグ水着を着た少女。ハイグレ魔王に命じられることもなく自然と作られた円陣には新参者のエレスも参加していた。

「ゆ、勇者レナ……! ハイグレは、と……とっても素晴らしくて、ハイグレ魔王様は、この世界で最も偉大なお方なんですッ。その……あの……無駄な抵抗はやめてハイグレ魔王様に忠誠を誓いなさい!」

 顔を真っ赤にしながらエレスが長い言葉を言い切った。エレスはホッと大きく息を吐き出した。

「ボクも良い加減あきらめたほうが賢明だと思うよ?」
 達観したような喋り方。余裕のある表情。ノクスの契約主でもあったルルだ。

「私は諦めないよ……」
 レナはアクション・ソードを握り立ち上がる。

「無理はしない方がいいよ。アクション・ソードの力は消滅寸前。あとはレナがハイグレを受け入れるだけという段階まできているんだから」
 ルルは可笑しそうに笑う。レナの握る剣はわずかにピンク色の光を淡く帯びていた。

「私もルルと戦った時はそう思ってたけど、ハイグレ光線を浴びたら、すっぱり諦められたわよ。ハイグレ魔王様のしもべとしてお仕えすることの方がずっと立派な使命だって気付けたから」
 リンが着用している真っ白な水着のように爽やかな表情で言った。ルルはすっかり改心した友達の言葉を隣で聞いて満足気に笑っていた。


「私たちはレナの召喚に巻き込まれてこの世界に飛ばされて、右も左もわからず彷徨っていたんだよ。そんな困り果てた私たちを救って下さったのがハイグレ魔王様とTバック男爵様だったの」
 背後から放たれた言葉にレナは振りかえった。サクラの言葉に同調してツバサも頷いていた。
「ハイグレ魔王様にはハイグレ人間にして頂いたご恩が私たちにはある。だから、私たちは偉大なるハイグレ魔王様のご命令に従って全力でレナをハイグレ人間にしてみせる!」
 サクラの力強い宣言を聞いてツバサも深く頷く。

「さあ、勇者レナ。敗北を認めるんだ。ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 ルルがゆったりとハイグレを開始した。

「レナが良い子なことはみんな知ってるから。私はレナと一緒にハイグレがしたいな。ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 笑って語りかけてから、ソニアもハイグレを始めた。
「ふん。切りたきゃ切りなさいよ。私たちはハイグレ魔王様のご命令に従うだけ。ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 リンもハイグレポーズをスタートさせる。
 やがてレナを取り囲んでいる7人全員のハイグレ人間が順次ハイグレを開始した。

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」

 全方向から聞こえる聞き慣れた声でのハイグレコール。全員がガニ股になって胸も股間も堂々と晒して無防備な状況で剣を構えるレナを見つめている。

「なんで!? なんで……切られるかもしれないのに……」

 レナの声は震えていた。

「みんな……なんで……」

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」

 レナの心の叫びは、かつての仲間たちのハイグレコールにあっさりとかき消されてしまった。もうみんなに自分の声は届かない。ハイグレ魔王に勝ってみんなを取り返すはずだったのに。
「私……ハイグレ魔王に勝てなかった……」
 手から滑り落ちた剣は光を失っていた。

「そうね。あたしの勝ちよ。さあ勇者レナ、アンタもハイグレにおなりなさい!」

 いつの間にかヒトの姿に戻ったハイグレ魔王は玉座で足を組んで座っていた。ハイグレ魔王は小指を立て、爪の先に真っ赤な光の玉をつくった。小指をクイッと曲げると、光は線となってハイグレ人間たちの輪へと目掛けて真っ直ぐ伸びていった。赤い光線はソニアとルルの間を通ってレナへと突き刺さる。

「うっああああああ!!」

 放心状態となっていたレナの無防備な腹部に命中すると光線は瞬時に彼女の全身を包んだ。

「ああっあああ……」
 全身が痺れるが決して不快ではない。あたりまえが消えて、初めての感触が支配していく。
 激しい閃光のなかで大の字になったレナをハイグレ人間たちが固唾を飲んで見つめていた。

「う……」

 光が収まると、レナは赤色のハイレグ水着姿になっていた。靴もセーラー服もローファーも全て消えて水着1枚のみとなったレナは、シンプルな姿と同じくらいすっきりとした表情でハイグレ魔王を見つめている。

「さあ、勇者レナ。自己紹介をしてもらえるかしら?」

「はい。ハイグレ魔王様」

 レナはだらりと垂らしていた瞬時に腕を股間に当てた。肩幅に開いていた足をさらに開き、腰を落としてガニ股になる。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ」

 レナは丁寧に3回ハイグレポーズを行う。

「私はハイグレ人間レナとして生まれ変わりました。もう勇者などではありません! ハイグレ魔王様に忠誠を誓うしもべです。なんなりと私にご命令をお与えください。ハイグレッハイグレッハイグレッ」

 自己紹介を終えると、レナは再びハイグレポーズを行った。

「ホーッホッホッホッ。それでいいのよ。ハイグレもなかなか似合ってるわ」
「ありがとうございます。ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 反抗的につり上がっていた目はトロンと従順に垂れ、ハイグレ魔王に褒められたことでキラキラと輝いていた。
「ハイグレ人間レナ。早速だけど最初の命令よ。アクション・ソードをここへ持ってきなさい」
 ハイグレ魔王は玉座に腰掛けたままハイグレ人間に命令を下す。

「ハイグレッハイグレッ。かしこまりました。ハイグレ魔王様」

 レナは足元に転がる古びた剣を拾い上げる。顔を上げるとルルと目があった。
「似合ってるよ。ハイグレ人間レナ」
「ありがと。ルルちゃん。私やっとハイグレの素晴らしさに気づけたよ」
 レナはルルが3歩下がって開けてくれたスペースからハイグレ人間の輪の外へ出て、ハイグレ魔王のもとへ進んで行く。

「お待たせしました。どうぞお納め下さい」
 レナはハイグレ魔王の足の前で両膝を付くと、両てのひらに剣を乗せて頭の上に掲げた。勇者がハイグレ魔王に跪きアクション・ソードを捧げる様子をハイグレ人間だけでなくハラマキレディースとTバック男爵も見守る。

「ホホホ……」
 ハイグレ魔王が剣に手をかざすと、ふわりと浮き上がりレナの手を離れた。

「ハイグレ人間レナ、この剣は最後の希望だそうよ。本当に渡しちゃっていいの?」
「もちろんです。ハイグレ魔王様のご命令に従うのが私たちハイグレ人間ですから」
 レナは迷うことなく答えた。ハイグレ光線によってハイグレ魔王の命令には絶対服従するよう本能に刻み込まれ、疑問に思うことすらない。ハイグレ魔王の命令はいつも全て正しいのだから。

「じゃあ遠慮なくこんな物騒なモノは壊しちゃっていいわね?」
「ハイグレッハイグレッ! ハイグレ魔王様がお望みなら!」
 立ち上がりハイグレを捧げるレナ。アクション・ソードの所有者は、すでにハイグレ魔王の所有物のひとつと化してしまっていた。

「ホホホ……あと少しだったのに残念だったわね……砕けよ!」

 ハイグレ魔王が浮かせていたアクション・ソードに魔力を込める。カチャカチャと刀身が震えると、ガラスが割れるように粉々に砕け散った。

「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ」

 キラキラと王室を舞って消えている愛剣を見送るようにレナはハイグレを捧げた。ハイグレ魔王に身も心も屈服した彼女に出来る最大限の弔いだった。

「ハイグレッハイグレッ。レグローからハイグレ魔王様も素晴らしい計画を阻害する脅威は全て消え去りました。この世界の全てがハイグレ魔王様の思うがままでございます」
 サーラはレナの隣に並ぶと、挨拶をしてから侵略者へと跪いて敗北を宣言した。レナも元女王に合わせて床に膝を付けた。女王と同じようにハイグレ魔王の組まれた足のつま先よりも低い位置まで頭を下げる。それから温めて謝罪を行った。

「魔王様のお手を煩わせてしまって申し訳ありませんでした! 勇者としての蛮行の数々……どうかお許しください!」

 ハイグレ魔王はひれ伏す赤色のハイグレ人間を見てニヤニヤと笑っていた。ハイグレ光線さえ浴びせてしまえば生意気な勇者だったとはいえ、小娘なんてこの程度だ。

「いいわよ。これからた〜っぷりこき使ってあげるから」
「あ、ありがとうございます!」
 所有者の慈悲深い言葉にレナは床に伏したまま顔を緩ませた。

「ハイグレ魔王様、私からも改めてご報告させていただきます」
 ハラマキレディースのリーダーが歩み出て、ひれ伏すレナとサーラの後ろに立った。無抵抗に突き出されている二つのお尻を見て笑っている。玉座の下に控えていたハイグレ人間たちも、ハイグレ星人同士の話が始まろうとするのを見て、いつの間にか全員がその場で平伏していた。椅子に腰掛けるハイグレ魔王を除けば、王室の中で立っているのはハラマキレディースとTバック男爵だけとなっていた。

「現在、レグローの人間のほぼ全員がハイグレ人間への転向を済ませ、勇者とその一味も我々の勢力圏化に収まりました。数日中には全ての人間がハイグレ魔王様のしもべとなることでしょう」

 ぺったりと床に体を貼り付けるハイグレ人間たちを見ると、彼女たちから抵抗の芽が完璧に摘み取られているのは明らかだった。邪魔をすることなく大人しく静かに支配者たちの勝利報告を聞いている。

「いいでしょう。これで戦力が整ったわね」
「レグローのハイグレ人間を全員投入すれば大抵の惑星なら数週間で制圧できるかと思われます」
 ハイグレ星人たちの会話をじっと聞いているハイグレ人間たち。新しい世界の征服計画に自分たちを使用してもらえることを誇らしく感じる。ハイグレ星人のために用済みとなった故郷を捨てて、新たに必要としている世界を手にいれる道具となれる幸せをハイグレ人間たちは嚙みしめる。
 レグローが故郷ではないレナも同じ気持ちだった。他のハイグレ人間たちと同様に彼女も別の世界の征服作戦へと身を投じる覚悟を決めていた。サクラもツバサも想いは一緒だ。生まれ育った場所なんて関係ない。彼女たちはハイグレ人間であり、それ以上でもそれ以下でもない最下層の存在に生まれ変わったのだ。


「ハイグレ魔王様、我々ハイグレ人間をどうか魔王様の素晴らしい計画にお使いください!」
 サーラがひれ伏したまま懇願する。
「当然よ。ハイグレ人間たち、あたしの計画実現のためにしっかり働くのよ」
 ハイグレ魔王の言葉へ返事をするためにハイグレ人間たちが次々と立ち上がった。室内のハイグレ人間たち全員が迷うことなくガニ股になった。

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」

 ハイグレ人間たちによるハイグレの大合唱が始まった。ハイグレ魔王の命令への服従を誓うハイグレを捧げ続ける。もちろんレナも目の前に座るハイグレ魔王へ向けて何度も何度もハイグレを繰り返している。ハイグレ魔王との戦いに敗れた勇者レナ。すっかり侵略者の手先へと生まれ変わった彼女も、ハイグレ人間として侵略行為にその身を捧げることを深く誓った。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 全てはハイグレ魔王様のために!」


おわり
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祝!最終話!

数多あるハイグレ小説の中で 綺麗に完結した長期連載の作品がいくつあろうかと 数年にもわたりここまで書き上げたぬ。さんはすげえよ ハイグレコールENDがもう!最高!

ぜひまだ読んでない人は完結を機に一気読みすることをお勧めする 一気に読めばキャラ設定を忘れないからね(ドン)

感想

最終話完成おめでとうございます!
とても良かったですよ!勇者もハイグレ人間になって完結!
今までありがとうございました!
ハイグレ魔王様万歳!

感想

ハイグレクエスト完結おめでとうございます!
私が住んでいるところに地震が来てもうびっくりです!
私がまだ寝ている最中でしたので怖かったです!
停電になったりとかして大変でした!でもまた大きい地震が1週間以内に来るかもしれないって言われて怖いです夜も安心して寝られないです。こんな暗い話しは此処までにしてハイグレクエストの話しに戻しますね
ハイグレクエストもう一回最初から読み返したいと思います。
途中で諦めかけたこともあったと思います。ですがぬ。さんは頑張って書いて下さいました。ありがとうございます。
本当ハイグレクエストを書くのお疲れ様です
ぬ。さんの活躍をこれからも期待しています!

Re: 祝!最終話!

>ROMの人さん
コメントありがとうございます
お久しぶりです(`・ω・´)
完結したことによってようやく一つの作品になれたかなと思います
再開の原動力になってくれたROMさんには感謝してもしきれません
最終話のコメント欄で未読の人に呼びかけるROMさん素敵やで(*´Д`*)
また機会があったらよろしくおねがいします(`・ω・´)

Re: 感想

> ハイグレ人間Rさん
コメントありがとうございます
最後はみんな仲良くハイグレ人間。グッドエンドで締めさせていただきました
こちらこそ最後までコメントありがとうございました。毎回更新するエネルギーを頂けました(*´Д`*)
今後とも宜しくお願いします(`・ω・´)

Re: 感想

>パンスト兵1206さん
コメントありがとうございます
今回の地震は実は最終話を書きながら速報を見ていました。発生直後の映像だけでも被害の大きさを感じることが出来ました
そんな大変な状況の中で最終話を読んで、コメントまでして頂きありがとうございます。
余震や復旧途中のライフラインなど不安な日々が続くとは思いますが、無理はなさらず体調など十分にお体にお気をつけください

古い話に遡って読んで頂けるというのはこの上なく嬉しいです(*´Д`*)
実際に何度も更新が止まって2〜3回ほど期間が空いています。後半は読んでくれている方がいらっしゃるというのがモチベーションになっていました
パンスト兵1206さんたちのコメントが最後まで書く力を与えてくれました!こちらこそ感謝です!
今後も楽しんで頂けるようなSSを書いていきたいと思いますので、ぜひ今後とも宜しくお願いします!

No title

完結お疲れ様です。
一番苦戦させた主人公に相応しい敗北をしっかり自分の中で認めてからの洗脳いいですね
約束云々は置いといて所有物だからどう使おうか自由って所は凄く納得させられる台詞
後半のアクションソードを持ってこさせる場面は洗脳済みだろうけどもしかして大逆転も?と思われるドキドキ感がありましたね
元々の住民はともかく主人公や友人は呼び出されさえしなければ平和に暮らせたものを
結果的に犠牲者が増えただけ、ただ本人からするとこちらのほうが幸せというまさしくハイグレの醍醐味
ありがとうございました。

Re:

>akarikuさん
コメントありがとうございます
最後まで抵抗を続けた勇者という存在が最も無様な負け方をずっと考えてました。そこそこ無様だったんじゃないかなと思っております
なんだか丸裸にされているようで嬉し恥ずかし興奮すr(自主規制
実は剣を再び握ると精神面でのみ洗脳が解けて、ハイグレ魔王に切り掛かるがハイグレの魅力に耐えきれず…というパターンも用意していました。ただその複雑な設定を書き切る能力がぬ。には無くて泣く泣く封印しました…。まさかそんな展開を密かに予想されるとはさすが様々なシチュを駆使して名作を生み出し続けるakarikuさん…
結果的にシンプルに負けた方て無様さが際立ったから結果オーライかなあと思います
もとの世界への未練もなくなってハイグレ人間として生きることだけを考える存在となる…ハイグレって素晴らしい(*´Д`*)
こちらこそコメントありがとうございました(`・ω・´)

No title

完結乙です。

オリジナルの異世界という大舞台にも関わらずしっかりと話をまとめきったのがすごい。
ここまで規模の大きい作品に出合えたこと、リアルタイムで追えたことに感謝です。

ここまで原作を意識してきただけに、最後はレナが勝つとばかり思ってました。
最後の最後で原作の流れと異なる展開が来て「これゼミで見たことない!」ってなりました(何
予想外だっただけに、ハイグレコールで締めくくるENDはテンション上がりましたよ。
ハイグレファンには夢のような展開ではないでしょうか。

これからも素晴らしい作品をお待ちしております。

Re:

>重金属さん
コメントありがとうございます
おかげさまで無事に完結することができました
重金属さんは完結してから読まれることが多いとのことだったので、一緒に追ってもらえたことは書いている側としても感謝でした
最終話にも原作ネタをいくつか仕込みましたが、最後だけ都合よく改変させて頂きました( ・`ω・´)
ご満足いただけたようで教授にも怒られずに済みそうです(何

やっぱり全員整列してのハイグレコールは王道ですよね
こちらこそ今後ともヨロシクお願いします(`・ω・´)
プロフィール

ぬ。

Author:ぬ。
本家でもちょっとだけ活動させて頂いてました。初のブログですが色々とチャレンジしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ハイグレ、ハイグレ、ときどきアップル。

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