短編「負ければハイグレ軍」

 あらためまして、あけましておめでとうございます。実は今回の投稿文は昨年中に投下したかったんですけど、ちょっとトラブルがありまして……ええ……。やはりMacは下手にいじらない方がいいですね。HDDの調子が悪いからって軽い気持ちでSSDに交換とかやるものじゃないです。はい……。
 SSDの相性が悪かったのか壊れていたのか俺が破壊したのか、初期化はできるけどデータのコピーやOSのインストールが全く出来ず悪戦苦闘しておりました。結局最後は初期化すら出来なくなっちゃったし、SSDという未来の道具はまだ俺のレベルでは早すぎたようです。
結果的にタイムマシン用に購入していた新品のHDDで再度試したら1発で換装成功したので結果オーライとしましょう(*´д`*)

さて長くなってしまいましたが、今年1発目の投稿は短編になります。「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉がありますが、ハイグレでも見事に当てはまりますよね。しかも負けた方は賊というか最後にはハイグレ軍になっちゃうというオマケ付き。
ハイグレ軍側がどんなに卑怯でも、どんなにズルいことをされても、洗脳されちゃったら最後、その時のやりとりまで全て賛美して完全服従しちゃうんだろうなあ。とか思って書き始めたのがこの短編のきっかけです。
オリジナルのキャラでいくか、版権キャラでいくか迷ったのですが、ここはちょっとリリ子ちゃんと魔王様の力を借りようかなと思い、クレしん原作で書かせていただきました。

なんとかお正月に間に合わせようと書きなぐった感じは否めないですが、そこは原作補正で何卒…何卒…。





 東京都庁ビル。それを跨ぐようにしてそびえ立つ不気味な宇宙船。厳密には宇宙船から変形してこの星に根差した奴らの根城。
「これが……ハイグレ城……」
 その入り口に1人の少女が立っている。アクション仮面の可愛いパートナー、桜リリ子が立っていた。彼女の足元には特殊な形状をした3輪車とヘルメットが置かれている
 ほんの数十分前、彼女は1人ではなかった。アクション仮面も絶対的な信頼を置く北春日部博士、この世界を救うために選ばれたアクション戦士や北春日部博士が助けた人々を連れて北春日部秘密研究所へ避難していた。
 アクション戦士とは、リリ子の妹であるミミ子がいるもう1つの地球から選ばれてやってきた少年のことだ。
 妹のミミ子が異次元転送装置を使って彼をこちら側の世界へ送ってくれた。すぐにリリ子たちは彼の保護に向かった。無事に保護に成功したものの、まさかその後に助けた人の中にスパイが紛れ込んでいたとは……。
 研究所に帰還してから間もなくして非常ブザーが鳴り響いた。ハイグレ星人に研究所の場所が見つかって包囲されてしまったのだ。もちろん研究所側も非常事態を想定してないわけがない。北春日部博士は直ちに電磁バリアを作動させ敵の攻撃から研究所を守った。ハイグレ星人の攻撃であっても、地球の科学力を結集させたこのバリアは破られない自信があった。その証拠に研究所へと降り注ぐ無数の攻撃を電磁バリアは完璧に守ってくれた。
 だが、最後にバスに乗せた女性……まつざかというアクション戦士の通う幼稚園の先生によって電磁バリアはあっけなく破られてしまった。
 スパイであることは見破れたが、ハイグレ人間の行動を甘く見ていた。服を脱ぎ捨てて真っ赤なハイレグ水着姿になったまつざか先生は素早くバリアの起動レバー付近にいた研究員を蹴り飛ばし、バリアを解除させてしまった。
 無防備となった研究所の天井からドリルが突き抜けてきた。その中からハイグレ星人が雪崩込んでくる。あっという間に攻撃の陣形を整えられてしまった。雨のように撃ち込まれるハイグレ光線によってみんな容赦なくハイグレ人間へと変えられていく。
 北春日部博士の指示でリリ子は、アクション戦士であり、アクション仮面の力の源のアクションストーンのスペアを飴玉と間違えて飲み込んでしまった野原しんのすけを守るために彼と彼の家族を隠しシェルターへ避難させるため走った。
 その間にもハイグレ人間は増えていく。バスで乗り合わせた子どもたち、彼女がよく知っている研究員たちも様々な色のハイレグ水着を着せられハイグレポーズを繰り返している。もちろんリリ子たちにも光線が命中する危険がある。慎重に退路を確保して、しんのすけをシェルターへと避難させないといけない。シェルターの入り口が隠されている場所まであと少しの所だった。彼の父親がハイグレ人間にされてしまった。隠し扉を出現させるスイッチを操作するリリ子の手は焦りと恐怖で震えていた。
「さあ早く! みんなを助けるためにも、ここにいてはいけないわ!」
 なんとかシェルターを起動させたリリ子はしんのすけと母親を呼ぶ。壁から現れた細い通路を走り、奥に設けられた小部屋の重い扉をいつでも閉められるようにしっかりと握る。
 研究所を見るとハイグレ人間の数の方が大多数となっていた。無事なのは自分とこの部屋へ向かって走るしんのすけとその妹と母親、そしてその後ろを追う北春日部博士の5人だけのようだ。
「こっから先には1歩も行かさんぞ!」
 細い通路を走る親子を守るために北春日部博士が入り口に立ちはだかった。
「だああああ!!」
「きゃああああああ!!」
 2つの悲鳴が聞こえる。光線が眩しくて視認できないが、この声は恐らく……。
「ハイグレェ……ハイグレェ……ハイグレェ……ハイグレェ……」
「ハイグレェッ、ハイグレェッ、ハイグレェッ、ハイグレェッ!」
 激しい点滅が終わって視界が晴れる。そこには信じたくない光景が映し出されていた。
「博士……」
「母ちゃん……」
 北春日部博士としんのすけの母親は揃って紫色のハイグレ人間になっていた。
「しんのすけ君! お母さんを助けるためにも早くこっちへ!」
 しかし、通路に呆然と立ち尽くし母親を見上げるしんのすけへ彼女の声は届かない。
「しんのすけ君!」
 リリ子はしんのすけを抱えて運ぼうと、彼のもとへ走った。
「うおおおおおおお!?」
 しかし、間に合わなかった。彼女の目の前でアクション戦士は光線に包まれた。
「はいぐれ、はいぐれ、はいぐれ、はいぐれ」
 しんのすけは真っ赤なハイレグ水着を着せられ、抵抗する様子もなくハイグレポーズを開始した。
「ハイグレェ……ハイグレェ……ハイグレェ……ハイグレェ……」
「ハイグレェッ、ハイグレェッ、ハイグレェッ、ハイグレェッ!」
「はいぐれ、はいぐれ、はいぐれ、はいぐれ」
 3人のハイグレ人間は、走ってくるリリ子のことなど微塵も気にすることなくただひたすらにハイグレポーズを繰り返す。リリ子はハイレグ姿になったしんのすけから落ちた金色のカードを拾うと、1人でシェルターに戻り鉄扉を閉めた。

 突入から制圧まで僅か数十分。研究所の様子は変わり果ててしまった。
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
白衣を着て作業をしていた人々は、色とりどりのハイグレ人間となり、研究所の隅に並べられていた。
 一方、研究所の中央にはハイグレ星人たちの目的である、スペアのアクションストーンを所持している可能性のあるハイグレ人間たちが並べられていた。
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
 バスによって外部から招かれた人々はもちろん、北春日部博士もこの集団の中に混ぜられていた。侵略者の幹部であるハラマキレディースの命令に忠実に従い、手前に子ども、その後ろに大人と2列に並びハイグレを繰り返すハイグレ人間たち。子どもたちの列の中にはしんのすけの姿もあった。
 研究員の列にも、アクションストーンの所持の疑いをかけられたハイグレ人間たちの列にも属さず、赤いハイグレ人間が、ハラマキレディースへと跪き、深く頭を下げている。
 ハラマキレディースのスパイとして潜り込んでいたまつざか先生だった。
「ハイグレ人間の整列が完了致しました」
「子どもの体内にアクションストーンを隠していたという情報は本当なのね?」
 マントを付けたリーダーが聞くと、まつざか先生は自信満々に答える。
「ハッ、北春日部博士にも確認は取れております」
「アクションストーンさえ手に入ればここはもう用済みよ。その子どもの所へ案内しなさい」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 まつざか先生は立ち上がってハイグレポーズを行い、しんのすけの前へと案内した。
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」
 研究所中央の2列のハイグレ人間たちは、リーダーが仁王立ちをすると、3度のハイグレポーズを行って、姿勢をピンと正して彼女へと顔を向けた。
「こちらの野原しんのすけという少年です」
 まつざか先生が、坊主頭の赤いハイグレ人間を紹介する。
「北春日部、このハイグレ人間の体内にスペアのアクションストーンを隠したのは本当かしら?」
 ストレートな質問。博士とリリ子が最後まで守り抜こうとした少年。博士に少しでも抵抗の意志が残っているなら絶対に口を割らないはずだ。
「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ。その通りでございます。ハラマキレディー様」
 北春日部は、拍子抜けしてしまいそうな程あっさりと質問に答えた。それだけでなく、ハイグレポーズも欠かさず、北春日部博士はハイグレ星人に完全に屈服してしまっていた。
「この他に予備のアクションストーンは?」
「ありません。ハイグレ魔王様がお持ちの本物と、少年の腹の中の2つだけです」
 リーダーは北春日部の変わり果てた行動を見て笑みを浮かべる。しかし、勝利に酔っている暇はない。リーダーはしんのすけのお腹へと手をかざす。すると彼女の掌が青白く光り、ピンク色のアクションストーンが姿を現した。ガッチリと掴んだリーダーはその拳を突き上げる。
「アクションストーンは頂いたわ!」
「素晴らしいですわ! ハラマキレディー様!!」
 まつざか先生が両手を合わせて嬉しそうに駆け寄る。
「それじゃ、私たちは帰るわよ」
「リーダー!」
 焦った様子の部下の声が聞こえる。
「どうしたの?」
「何者かがこの場所から飛び出して行ったのがレーダーに映っています!」
 レーダーには丸い黄色いマークが1つ点滅し、研究所から遠ざかっている様子が映し出されていた。
「逃げたアクション仮面のパートナーと思われます」
「放っておきなさい」
 リーダーが続ける。
「アクションストーンは手に入れたわ。ハイグレ魔王様に報告へ向かうわよ!」
「ラジャー!」
 2人の部下はリーダーの指示に従って頷いた。
「みんな、ハラマキレディー様がお帰りよ!!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
 まつざか先生の声を合図に、研究所内のハイグレ人間たちが一斉にハイグレポーズを開始した。笑顔や真剣な顔はあっても、苦痛に顔を歪ませる者はもう1人もいない。
 ハラマキレディースがアクションストーンを持って目の前を走り抜けていく。抵抗する者も行く手を阻もうとする者もいない。ハイグレ人間たちにはハラマキレディースを見送る事、アクションストーンがハイグレ魔王へと届くこと、それによって地球がハイグレ魔王の支配下となる日が1日でも早く訪れることを願うことで頭が一杯だった。
 大量のハイグレ人間に見送られ、ハラマキレディースは研究所を飛び立った。残されたハイグレ人間たちのハイグレコールはその後もずっと研究所で続いていた。

 ハイグレ城へと辿り着いたリリ子は意を決して中へと侵入し、広く長い廊下を歩いていた。
 手元にはしんのすけが持っていた金色のアクション仮面カードしかない。このカードとアクションストーンさえあればアクション仮面をこの場に呼ぶことができる。
「しんのすけ君のお腹の中のアクションストーンは奪われちゃったんだろうな……」
 果てしなく高い天井に嫌気がさし、ピカピカな床を見ながらリリ子が呟く。
「アンタ、アクションストーンのこと知ってるの?」
 床から突如発せられた声。
「だ、誰!?」
 リリ子は立ち止まって辺りを見回す。
「アタシは可愛いお人形」
「キャッ!?」
 彼女の前に現れたのは、不気味な仮面をかぶって黒マントで全身を覆った自分より背が小さい異星人だった。
「ハイグレ魔王の所へ行きたいの?」
「あなたは何者? ハイグレ魔王の仲間なの?」
「付いてきなさい」
 リリ子の質問を無視して人形は長い廊下を進んでいった。不安になりながらも他に魔王の手がかりもないので、リリ子は後を追うことにした。
 やがて人形はひとつの大きな三角形の扉の前で止まった。扉はリリ子が近づくと自動で開いた。
 広い部屋の壁には滝が流れている。地球の技術では不可能だと思える幻想的な雰囲気だった。部屋の中央には、室内を見渡せるくらいの高い壇になっている。そこに置かれた玉座に座っているのは————。
 座っているのは不気味な仮面を付けて全身を黒マントで包まれた異星人……。
「こんにちは」
 玉座から声が聞こえる。その声は人形と一緒だった。リリ子は人形を見る。が、その瞬間人形は光の粒子を弾かせ消えてしまった。
 黒マントが椅子から立ち上がる。バサリとマントを背中へと翻すと、隠れていた青い肌とピンク色のハイレグ水着が露わになった。そこには目にも股間の膨らみが確認できた。
「お、男……?」
「そうよ。アタシはオ・カ・マ」
 想像していた以上に危ないタイプかもしれない……直感的にそう感じたリリ子は扉の外へ出ようとした。
「逃げることはないじゃない」
 突如、全身に痺れが走って力が入らなくなる。立っている力も奪われ、その場に弱々しく座り込んでしまう。コツコツとブーツの音が近づいてくるのが聞こえるが動けない。
「アタシはハイグレ魔王。この地球の支配者……」
 ハイグレ魔王はそう言うと、小指に真っ赤な光の塊を作り始めた。
「ここまで来た度胸は認めてあげる。その度胸……これからはアタシのために存分に使うといいわ」
 あの光が何かは言われなくてもわかった。みんなをハイグレ人間に、このオカマの忠実な下僕へと変えた光線だ。リリ子は残った力を振り絞りアクション仮面カードを握った。
「えいっ!」
 カードをハイグレ魔王の小指目がけて手裏剣のように飛ばした。
「いやん、危ないわね」
 しかし、カードは目標を大きく外れて飛んで行ってしまった。
「最後まで楽しませてくれるわね。これからたっぷりこき使ってあげるわ……アイタッ」
 ハイグレ魔王が奇声をあげると、耳を押さえてしゃがみ込んだ。ブーメランのようにしてアクション仮面カードがハイグレ魔王のイヤリングに当たったのだ。
 リリ子はアクション仮面カードを回収しようと辺りを見回す。カードはハイグレ魔王の足元に落ちていた。その隣にもう1つ光るものが見えた。アクションストーンだ。スペアではない、アクション仮面がハイグレ魔王によって奪われた本物のアクションストーン。
 体が痺れているなんて言っていられない。リリ子はアクションストーンへと手を伸ばした。なんとか届いた。あとはカードを拾えばアクション仮面を呼ぶことが出来る。
「そうはさせないわ!」
 あともう少しの所でアクション仮面カードを拾い上げたのは青く細い手だった。
「知ってるわよ。これとアクションストーンを持ってアクションかめぇ〜んって叫ぶとアクション仮面が現れるってこと」
 リリ子は両手を固く握り顔の前で構えた。バチバチと眩しい光が溜まっていく。
「まだ諦めないなんて……仕方ないわねえ、登りっこで勝負してあげる」
「登りっこ……?」
 
 ハイグレ魔王に連れられてやってきたのは城の外だった。
 ハイグレ上の屋上に立つ真っ白のハイグレ魔王の像。これが登りっこの舞台のようだ。
「この塔の頂上に先に着いて中心にあるスイッチを先に押した方の勝ちよ。もしアタシが負けたら潔く地球から去るわ。どう? 正々堂々とした男らしい公正明大な勝負でしょ?」
「私は女なんだけど……」
「おだまり! じゃあヨーイドンッ! うりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
「えっ!?」
 ハイグレ魔王は一方的にスタートを宣言して魔王像を登り始めた。完全に出遅れた形になってしまったリリ子も慌てて後に続く。
 魔王像は思っていたより登りやすい。しかし、それでも女の子の体力ではキツイものがある。トカゲのように登っていくハイグレ魔王に離されながらも諦めずに着実に登っていく。
 リリ子が像の腰の辺りまで来たとき、あることに気が付いた。
 ハイグレ魔王がゴールとは別方向に進んでいる。ゴールは左腕が掲げるトーチ。しかしハイグレ魔王は腕を登らず顔へと続く胸部を突き進んでいる。
 これはチャンスだ。リリ子はハイグレ魔王に気づかれないように左腕を登っていく。
「しまった! こっちじゃないじゃない!」
 ハイグレ魔王がついに気づいてしまった。肩の上に立ち上がってリリ子を見上げている。
「うりゃあ!」
 次の瞬間、ハイグレ魔王は勢いよく肩から腕へと飛び移った。しかし、それでもリリ子の優勢は変わらない。
 リリ子は頂上へと辿り着き、ゴールしたことを証明するスイッチを見つけて一目散に走る。
「お待ち!!」
 驚異的なスピードで追い上げてきたハイグレ魔王も頂上へと到着する。だがそれと同時にリリ子はスイッチを押した。
「私の勝ちよ!」
 リリ子は走るハイグレ魔王に向かって叫んだ。
「残念だったわね。アタシの勝ちよ!」
 ハイグレ魔王はスイッチを叩く。スイッチ台からピースサインが飛び出した。リリ子のときにはなかった演出だ。
「言ったでしょう? アタシは先にスイッチを押したほうが勝ちだって。ゴールしたことでスイッチを押し忘れちゃったようね」
「そんなはずないわ! 私はちゃんと……」
 リリ子の手にはボタンを押した感触が確かに残っていた。
「公明正大な勝負って言ったでしょう? 正々堂々と勝負した結果、アタシが勝ったんだから仕方ないじゃない」
「何が結果よ! こんな卑怯な手を使って……男らしくないわよ!」
 真面目に戦っていたリリ子は怒りを露わにする。
「ホホホ、悪い? アタシはオ・カ・マ・よ?」
 笑いながらハイグレ魔王は再び小指に力を溜めていく。
「約束通りたっぷりこき使ってあげるわ。さあ、ハイグレにおなり!」
 攻撃が来るとわかっていても、登りっこで疲れ切ったリリ子に避ける体力は残っていなかった。
「卑怯者……」
 それがリリ子が人間として最後に放った言葉となった。


「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 水色のハイレグ水着姿となったリリ子はハイグレポーズを繰り返す。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 動ける体力は残っていなかったはずなのに力が溢れてくる。それに反比例するように目の前に立っているオカマへの憎しみや嫌悪感も消え去っていく。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 顔は凛々しく整い、ハイグレが包む締まった体も素敵だ。トレードマークのモヒカンもとても似合っているし、股間の膨らみすら美しく見える。
「ホホホ、無様ね」
ハイグレ魔王の艶やかな声が脳内に響き渡る。その余韻を味わいながらのハイグレポーズは格別なものだった。「
「ハイグレェッハイグレェッハイグレェッハイグレェッ」
 洪水のように押し寄せる快感によって緩みきった上と下の口からヨダレが流れる。口とは裏腹にヨダレによって固く締まったハイグレが新たな刺激を連れてくる。
「ホホホ……だらしのない顔ねえ。登りっ子を引き分けにして、改めて地球を賭けた勝負をしてあげてもいいわよ?」
 リリ子はハイグレ魔王を見上げて、惜しみなく振りまかれる魔王の笑顔をたっぷり堪能してから答えた。
「ハイグレェ、ハイグレェ! 私の完敗です。桜リリ子はハイグレ魔王様の勝利という公正明大な判定に従います」
「やっと負けを認めたわね」
 リリ子の心の中にあったハイグレ魔王に抵抗する気持ちは完全に摘み取られてしまった。自らの口で敗北を宣言をしてハッキリと理解できた。目の前にいる異星人は敵ではない。そして自分はもう人間ではない。
「偉大なるハイグレ魔王様に勝てると少しでも考えていた愚かな私をお許しください。これからは地球の支配者であるハイグレ魔王様のしもべとして働かせて頂きます! ハイグレッハイグレッハイグレッ!!」
 アクション仮面のパートナーとして奮闘し、北春日部博士を助手席に乗せてパンスト団から守り、まつざか先生をスパイと見破り危うく計画を失敗させかけ、たった1人でハイグレ城まで乗り込んでくるほどの活躍をしたリリ子も光線1発でごく普通のハイグレ人間となってしまった。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 そんな彼女の強い心と身体もこれからはハイグレ星人の為に使われる。彼女自身がそれを望んで実行するのだ。1人のハイグレ人間として。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!!」
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ぬ。

Author:ぬ。
本家でもちょっとだけ活動させて頂いてました。初のブログですが色々とチャレンジしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ハイグレ、ハイグレ、ときどきアップル。

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