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ハイグレクエスト 第8話

毎度ありがとうございます。ぬ。です

今回は予告通りハイグレクエストの8話を投稿します

コメント欄にコメントを下さった方、チャットにてコメントして下さった方
待っててくれる人がいるとは思っていなかったので感激しました

7話の時点で主要メンバーが1人も洗脳されてない状態で未完とかシャレになりませんからね(切実


良かったらもうちょっとお付き合いください(`・ω・´)





「さて……」
 ルルは神殿の中央へと歩いていく。ポトルが描き、カロラに吹き消された魔法陣の残骸を確認する。
「やっぱり時空系じゃない……これは……」
 手で魔法陣を修復する。
「精霊を召喚する魔法陣」
「呼んだ?」
「うわぁ!?」
 突如、足元から発せられた声にルルは飛び上がった。ルルの視線の先には紺色の布を巻いた少女がいた。
「キミがノクス?」
 少女がこくりと頷く。
「レナにアクションソードを渡したのはキミかい?」
 その質問にもノクスはゆっくりと頷いた。
「サーラにそうするように言われたから」
「サーラ女王様に……やっぱりサーラ女王様はアクションソードのことを知ってる……」
 ルルはその場にしゃがんでノクスに目線を合わせた。
「ねえ、ボクと契約しない?」
 ノクスは静かに頷く。
「え……いいの……?」
 あまりにもあっさり承諾されてしまい、提案したルルの方が戸惑ってしまった。
「うん。サーラとの契約は解除されちゃったから……」
「サーラ様と……契約解除はハイグレ魔王の命令か……それともノクスを守ったのか……」
「契約……しないの?」
「する! するする!」
 ルルは身を乗り出して答えた。
 
 ノクスは契約を済ませると再び消えてしまった。しかしルルにとってそれは好都合だった。
「やるか……」
 初めて使う呪符だった。毒々しい紫色。人の記憶を少しいじることが出来る。当然だが使用は王国の法律で禁止されている。でも取り締まる国王が諸事情で不在なのだから捕まることはないのでセーフだ。
 ルルは慎重に札に魔力を込める。
「ボクの力だと奴らが学校に攻めてきた時まで戻すくらいが限界だな……でもそこまで記憶を戻せればカロラは……試す価値は十分ある……」
 仰向けになって気を失っているカロラの顔を覗き込む。
 呪符を貼り付ける場所を無防備な胸元に狙いを定めた。
「これは……」
 ふとカロラの近くに転がっていた光線銃を見つける。
「万が一があったらシャレにならないからな……」
 最悪の事態を想定してルルは銃を回収した。未知の実験をするのだから危険な可能性のあるものはできる限り排除しておいたほうがいい。
「いくぞ……!」
 ペタリと紫色の呪符がカロラの胸に貼られた。効力を発揮しようと札は鈍く光り、さらに毒々しさを増していった。
「う、うう……」
 カロラに反応があった。
「ル……ル……?」
 ゆっくりとカロラの目が開き、視線が合う。
「あれ……私……一体……」
「お前はハイグレ魔王に操られていたんだよ」
「ハイグレ魔王——」
「そう。この世界にやってきた侵略者さ。お前はソイツに操られていたんだよ」
「ああ……そういえば学校を襲撃されて……」
 カロラは少し顔を歪めながらも身を起こした。
「そうか……私は負けたんだね……」
 自分の体を包む茶色いハイレグ水着を見て彼女は悟った。
「これでもう大丈夫だ。さあ、一緒にみんなのところへ——」
 カロラはルルの目の前に掌を翳して静止させた。
「ダメ……あいつらの洗脳術はこんな小細工じゃ逃げられない。ルルだけでも逃げて」
「でも——」
「早くゥッ!」
「カロラ……?」
「もうダメ……やっぱり私ハイグレがしたい……」
 カロラは傷だらけの体で素早く立ち上がると、ルルの眼の前でガニ股になった。
「ハイグレッハイグレッハイグレッ!」
 カロラはルルの眼の前でハイグレポーズを行う。
「ハイグレッハイグレェ! ああ……1度ハイグレの気持ち良さを知っちゃったら絶対に忘れられない……ルルだってきっとそうさ」
 うっとりとした顔でそう言うカロラの股間はじんわりと濡れて黒ずんでいた。ルルはそれを見て酷い嫌悪感に襲われる。
「1度でもハイグレを味わったら、この快感を忘れることも逃れることもできない。私はこれからもずっとハイグレ魔王様のしもべさ」
「ボ、ボクはそんなものに屈したりはしない! カロラだって――」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ! ルルのおかげでハイグレ魔王様の偉大さが改めてわかったよ」
 カロラはゆっくりとルルに歩み寄る。
「やっぱり私たちはハイグレ魔王様のしもべとして生きて行くのがあるべき姿なんだ!」
 ルルの背中にポンと手を置く。
「残念だけどハイグレ銃をなくしちゃったみたいだ。ルルをここでハイグレ人間にしてあげることはできないや。お預けだね」
 そう言うとカロラはひらひらと手を振って神殿から出て行った。



 ウェートシティへと続く道を重い足取りでルルは歩く。呪符に込めた魔力が弱かったのか、敵の洗脳術が自分の力を上回っていたのか。どちらにせよ自分が非力である答えにたどり着く自問自答を続けていると、ルルはウェートシティの正門の前に立っていた。門は固く閉ざされていて門番の姿はない。先に向かったレナたちの姿も見当たらなかった。
「他の入り口を探すか」
「その必要はないわよ!」
 後ろからリンの声が聞こえて、ルルは慌てて振り返った。
 そこにはリンともう1人、くるぶしまで伸びる真っ白いローブを着た少女が立っている。
「リン、その子うわぁ!?」
「返り討ちにはされなかったようね」
 リンは両手でルルの胸元を勢いよく開く。ルルの豊満な胸が露わになった。
「アンタけっこう胸あるのね……」
「何すんだバカ!」
 両手を広げて胸を見つめた格好で固まるリンを弾き飛ばしてルルははだけた上着をなおす。常に冷静沈着なルルの頬が真っ赤に染まっている。
「と、とこでその子は?」
 本題に入ることで話題を逸らすルル。
「エレスよ。覚えてない?」
 ルルは迷わず首を横にふる。
「無理もないか。隣のクラスだったし」
「それじゃあ、あの時も学校に?」
 今度はリンが首を横に振った。
「エレスはウェート神殿の手伝いをしていたから参加してないわ」
「神殿の手伝い?」
 ルルはじーっとエレスのことを見た。短い灰色の髪は肩より上で帰路揃えられている。スラっとした細身の体に分厚い白のローブ。裾には赤い不思議な模様が刺繍されていた。
「あの戦いに不参加ってことはまた不登校ぐお……ぐふ……」
「ソニアの時といいアンタはなんでそういうストレートな言い方しか出来ないの!? 次はぶん殴るからね」
「……もう……殴ってる……」
 お腹を押さえて崩れ落ちたルルを無視して、リンはエレスに話しかける。
「このバカも一緒に連れて行ってもらっていい?」
 エレスはこくりと頷いた。それから2人の手をぎゅっと握る。

「あれ……ここは?」
「ウェート神殿よ。ありがとエレス」
 エレスはさっと手を離してリンとルルから距離をとった。
「これって……」
「テレポート。エレスの得意技よ」
「2人いっぺんに的確に運べるなんて……」
 ルルは赤面するエレスをまじまじと見つめる。
「ルルちゃんおかえり〜!」
 聞き慣れた緊張感のない声が聞こえる。レナとソニアがお菓子を頬張りながら歩いてきた。
「みんな無事だったようですね」
 初めて耳にする声。落ち着いた雰囲気から神官だとわかった。
「私はこの神殿の神官のセシルです」
「はじめましてセシル様。スノー学園のルルです」
 ルルはセシルへ膝をつき深々と頭を下げた。
「勇者様の護衛とアクションソードの発見ご苦労様でした」
 透き通るような絹の衣装を身にまとったセシルは優しく笑う。エレスは彼女に隠れてこちらの様子を伺っていた。
「明日の朝にスノーシティへ出発するそうですね。今日はゆっくり休んでください」
「ありがとうございます」
 ルルが行儀よくお辞儀をする。
「エレス」
 ふいにセシルは自分の後ろに潜む少女の名前を呼んだ。
「は、はいッ!」
 電気が走ったように大きく体を震わせて返事をするエレス。
「この子はエレス。今は神殿の仕事を手伝って貰っていますが、みなさんと同じスノー学園の生徒です。頼みごとがあったら遠慮なく言ってください」
「よ、よろしくおねがい……します……」
「とりあえずルルを寝室に案内してあげてもらえる?」
「は、はい」
 エレスは小刻みに数回頷く。
「それでは私は失礼します」
 優しく微笑んでセシルは神殿の奥へと去っていった。
「あ……あの……こっち……です……」
「あ、ああ。ありがとう」
 ルルは立ち上がる。
「少し疲れたからボクは明日に備えて先に寝るよ」
 ルルは仲間たちに言った。
「わかった」
「明日の朝は早いから寝坊するんじゃないわよ」
 リンはいつの間にか食べ始めた焼き菓子片手に言った。
「おやすみー」
 手を振るレナに手を振り返す。
「おやすみ」
 挨拶を済ませたルルは、エレスのあとに続いて細い廊下を進んでいった。


 ウェート神殿は思っていた以上に広かった。薄暗い通路をぐんぐん進んで行く。
「あのさ、あのテレポートなんだけど……」
「う……うん……」
 弱弱しくエレスが返事をする。
「最大何人まで運べるの?」
「え……っと……私を入れて……3人……まで……」
「ということはさっきので限界か。全員をスノーシティまで運んでもらうのは難しそうだな」
「ご……ごめん……なさい……」
「べ、別に謝ることじゃないよ。ボクの方こそ無茶なこと言ってゴメン」
 ルルがしどろもどろになっているとエレスが立ち止まる。
「この……部屋……です」
 エレスは古びた木製の扉を指差した。
「あ、ああ……ありがとう」
 部屋への案内を終えると、エレスはトコトコと早足で戻っていった。


 寝室にはベッドと机が置かれているだけの簡素なものだった。それでも安心して体を沈められる場所があるだけありがたい。
「ふう……」
 ルルはベッドに全てを預ける。薄く開いた目で天井を見た。ろうそくの明かりがチラチラと揺れている。ゆっくりと意識がまどろみに溶けていく。しかし、その誘いを邪魔する感触が首に走った。
 ルルは反射的に起き上がり首元に手を伸ばす。そこには硬い紙の感触があった。
「これは……ボクがカロラに使った呪符……?」
 紫色の紙切れにはまだルルの魔力が残っていた。
「高かったのに全然使えなかったな」
 ルルは呪符を捨てようと丸めた。
「うっ!?」
 彼女の体に鈍い衝撃が走った。心臓の鼓動が激しくなる。額に嫌な汗が滲み呼吸も乱れてきた。
「なんだこれ……まさか呪符の……」
 記憶が映像となってぐるぐると頭の中で渦巻いていく。ルルが見た事のない光景も流れ込んできた。初等科のある校舎の前でカロラと並んでいる自分。その格好は……。

「この呪符では記憶の捏造はできないはず……ということはコレはボクの本当の記憶……!?」

 最悪のケースも考えた。リンとレナがいる大広間に行けば、例えそうなったとしても敵の無様な言いなりになる前にアクションソードで楽にしてくれるかもしれない。
 ドアノブへと手を伸ばそうとすると、床から鈍い音が聞こえた。カロラから回収したハイグレ銃を落としてしまった。
「ハイグレ銃が……ハイグレ……銃……ハイグレ……ハイグレ……」
 ルルの手がドアノブにかかることはなかった。意識が遠のき彼女は床に崩れ落ちた。

つづく
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Author:ぬ。
本家でもちょっとだけ活動させて頂いてました。初のブログですが色々とチャレンジしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ハイグレ、ハイグレ、ときどきアップル。

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