スパイまつざか梅 前編

こんばんわー(`・ω・´)
前回の更新、特にSS投稿からかなりの時間がたってしまいました

ごめんなさい……今回はクエストの続きでも、前回の雑談の続きでもないです

以前から多数のご要望を頂いていた原作を題材としたまつざか先生の短編ですが、こちらを書かせていただく事にしました

まつざか先生のスパイ任務が成功していたら……そんな妄想はきっと誰もがしたと思います
原作という設定の制約が多いなか、まつざか先生はスパイとして自由に動いたり、転向後に身体能力が向上したと思わせる華麗なジャンピング回し蹴りを披露したり、その体を張って仲間を窮地に陥れたりと本当に素晴らしい活躍をしてくれています
漫画版のまつざか先生も良い味を出していましたね
しんのすけにオシッコをかけられてまで任務を遂行するなんてハイグレ人間の鑑です
このSSの中だけでもスパイ任務、なんとか成功させて欲しいですね(*´д`*)

今日は前編までの公開となりますが、よかったら読んでみてください
後編はそう遠くないうちに投稿できるように頑張ります

では、どうぞー





 セミの声が激しさを増してきた。そんな声にも負けない声がふたば幼稚園のプールサイドから聞こえてくる。幼稚園はすでに夏休みに入っていたが、今日はプールの授業があるため久しぶりに園児たちが戻ってきていた。 
「「「イッチニ、サンシッ、ゴーロクシチハチ!!」」」
 紺色のスクール水着を着た園児たちが元気に準備運動をしている。
「はい、それじゃあ今度は手と足をブラブラさせて」
 園児たちを引率する先生も紺色の大人用のワンピース水着を着て一緒に準備体操をしている。
「まつざか先生ー! ちょっとこちらへよろしいですか?」
 グラウンドから呼ばれたまつざか先生は、園児たちにそのまま待っているように伝えて、プールからグラウンドへと向かった。
「どうしたんですか園長先生?」
 自分を呼んだ色黒の肌の強面の風貌の男性教員に声をかける。
「どうやら異星人が埼玉にも攻撃を始めたらしいんです。今日のプール授業は中止にして幼稚園を家族の避難場所として開放することにしました」
「本当ですか……? でもさすがに春日部には……」
「用心するに越したことはないのよ。まつざか先生」
 ポニーテールの女性職員が言う。
「あら、よしなが先生は単純に水着を着て私と並びたくないだけでしょう?」
 よしなが先生に見せつけるようにまつざか先生はセクシーなポーズをいくつかとってみせた。地味な水着だったが、抜群のスタイルから繰り出される攻撃に園長先生は思わず鼻の下を伸ばしてしまう。
「あなた?」
 奥からやってきた中年女性が園長の後ろから低く鋭い声を発した。
「副園長先生も言ってあげてください。いくら男がいなくて園児たちにしか水着姿を披露する相手がいないからって時と場を考えるようにって」
「まつざか先生、子どもたちの安全のためです。園児たちにも水着から着替えるように伝えください」
「わかりました……」
 まつざか先生は渋々プールへと戻っていく。
「よしなが先生! その貧相な体を披露せずに済んで良かったわね! せいぜい異星人にでも感謝しておくといいわ! ホーッホッホッホッホッホッホ!!」
 まつざか先生は途中で立ち止まると向き直り、捨て台詞を吐き、空へ向けて大きく笑いながら彼女はグラウンドから消えていった。

「まつざか先生おそいよ〜!」
「早くプールに入りたい!」 
 プールサイドでは待ちくたびれた園児たちがブーイングが飛んでくる。面倒なことになってしまった。よしなが先生が遅番の園児たちを連れてくるまでは1人で引率をしなければいけない。勝手に遊ばせて、ビーチベッドを広げてのんびり日光浴でもして小麦色の肌を手にいれる作戦は御破算になってしまった。園長先生とよしなが先生が乗ったバスが幼稚園から出発するのを見ながら彼女は園児たちにどう説明しようか考えていた。
「えーっと……今日のプール授業は中止で、みんなで教室でお絵描きをすることに——」
「ええー!?」
「いやだよプールがいい!」
 ずっと楽しみにしていたものを目の前で取り上げられた園児たちの怒りはどんどん膨れ上がる。
「それじゃあちょっとだけですよ。少しだけですけどプールで遊んだら、今度はみんなで仲良くお絵描きしましょうね」
「副園長先生、よろしいんです……か……?」
 まつざか先生が振り返ると、服園長先生はTシャツ、スカートからヒョウ柄のハイレグ水着姿になっていた。
「30分したら教室に戻りましょう。さあみんなもう1回準備運動からよ! どうしたの? さっきまであんなに元気だったのに。嫌でも準備運動はしっかりやらないとダメよ?」
 園児たちは副園長先生のヒョウ柄ハイレグ水着を見せつけられてすっかり大人しくなっていた。文句ひとつ言わず準備体操を再開する。
 
「おかしいわね。交信が途絶えたのはこの辺りのはずなんだけど……」
 真っ白のオマルに跨った3人のハラマキ1枚を体に巻いた青白い肌の異星人が春日部上空を飛行する。その後ろには頭からパンストを被った赤い全身タイツの異星人2人を従えている。
「パンスト兵さえしっかりしていればアクションストーンを奪う任務を続けられたんですけどね」
 オレンジ色の髪の異星人がボヤく。
「文句言わない。北春日部博士の秘密基地を見つけ出すのもハイグレ魔王様に与えられた立派な任務よ」
 3人の真ん中を飛び、唯一赤いマントを付けた異星人が反論する。
「リーダー、あれを見てください!」
 カールした紫色の髪の異星人がふたば幼稚園を指差した。
「あれは……ハイグレ人間……じゃないわね……」
 リーダーと呼ばれた赤マントも興味深そうに見下ろしている。
「変装しているつもりでしょうか?」
「呑気に踊ってますね」
 オレンジは苛立った声で言う。
「あっピンク色の車が施設から出て行きます! 北春日部博士が乗っていないか調べますか?」
「いえ、それはTバック男爵の仕事よ。私たちはあの建物が秘密基地かどうかを確認するわ」
「それじゃあ……」
「ええ。あの私たちをおちょくっている地球人たちを全員ハイグレ姿にしておしまい!」
「「ラジャー!!」」
 異星人たちは遠ざかっていくバスには目もくれずに幼稚園のプールへと急降下していった。
 
「イッチニサンシッ!」
「「「ゴーロクシチハチ!!!」」」
 前屈運動で体を正面で反らす際に服園長先生は必要以上に股間のVラインを強調してくる。まつざか先生はなるべく視界に入れないように努力したが、綺麗にムダ毛の処理が行き届いていることは直視しなくても良くわかった。今回彼女がローレグの水着を選んだのは伸び放題のデリケートゾーンを覆う意味もあった。これから夏本番に向けてしっかり手入れをするまでは昨年から育ったアンダーヘアを隠し通さないといけない。
「キャアアアアアア!!」
 そんなことを考えていると当然園児の悲鳴が聞こえた。プールに落ちてしまったかと慌てて視線を戻すと、眩しい光の点滅に思わず目を瞑ってしまう。
「はいぐれっはいぐれっはいぐれっはいぐれっ」
 悲鳴をあげた女の子は、スクール水着から副園長先生と同じハイレグの水着姿になってしまった。ヒョウ柄ではなく無地の赤色だった。彼女はハイレグではなくハイグレと叫びながら小さい体を激しく動かしてコマネチを繰り返す。
「きゃああああああああああああ!!」
「うわああああああああ!!」
 ハイレグ姿となった少女の両脇の子たちも光に包まれた。
 今朝、ニュースで見た光景が目の前で広がっている。異星人の攻撃だった。上空を見上げると5つの影が光線を発射しながらこちらへと急降下してくる。
「まつざか先生! 早く子ども達を教室にああああああああああああ……」
 言い切る前に副園長先生は光線に飲み込まれた。
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレェッ! ハイグレェ〜!」
 副園長先生のヒョウ柄水着は無地ピンクのハイレグ水着へと変えられてしまった。
 異星人の着せる水着の切れ込みは更に鋭い。ヒョウ柄では隠れていたわずかなムダ毛が露わになってしまっている。
「副園長先生……その年で哀れな……」
「ハイグレェ〜! ハイグレェ〜! ハイグレェ〜! ハイグレエエエエ!」
 ガニ股になり掛け声に合わせコマネチを繰り返す副園長先生をなるべく見ないようにしてまつざか先生は叫んだ。
「みんな! 私のところに集まるのよ!」
 どれくらいの園児に聞こえただろう。半数以上は既に色とりどりのハイレグ水着姿になってしまっている。残りの子どもたちも次々と光線に包まれていく。掛け声と悲鳴が入り混じる中、それでも自分のもとへと生徒たちが駆けてくる。その子たちを自分の後ろへと隠す。無事な子は全員集まった。このまま全員で一気に教室へと逃げるために再び叫ぶ。
「さあ行くわよ! 教室へと走るの! 大丈夫。ほら、行くわよ。急いで! ほら、いっくウウウウウウウウウ!!」
 異星人たちに背を向けた瞬間、まつざか先生に光線が衝突した。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 紺色のローレグ水着は消え去り、まつざか先生は真っ赤なハイレグ水着に着せ替えられた。副園長先生と同じく上手く覆っていたはずの陰毛が露わになってしまっている。しかし、彼女にそれをどうにかする権利は与えられていなかった。ガニ股になりVラインに沿って腕を交差させる。声は『ハイグレ』としか発することが出来ない。
「先生!?」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「まつざか先生!!」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 園児たちが声をかけても彼女は『ハイグレ』とだけ発し続ける。
 先生が2人とも敵の手にかかり取り残された園児たちに逃げ道は残されていなかった。
「ハイグレェハイグレェハイグレェハイグレェ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 先生2人が苦悶の表情で見守るなか、ついに残り1人となった園児に光線が命中した。最後まで逃げていた男の子も緑色のハイレグ水着を着て周りの子達に合わせるようにコマネチを繰り返した。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「ハイグレェハイグレェハイグレェハイグレェ」
「はいぐれっはいぐれっはいぐれっはいぐれっ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレ人間たち、ここに集まりなさい!」
 たくさんの叫び声が入り混じるプールサイドに鋭い声が響いた。
「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」
 するとバラバラだったハイグレ人間たちが声を揃えて3回コマネチをする。そしてグラウンドにいる5人の異星人の前へと集合した。

まつざか先生

 
「ハラマキレディー様、ふたば幼稚園内にいた地球人はすべてハイグレ人間へと転向致しました! ここにいる全員がハイグレ魔王様、ハイグレ星人様に身を捧げ永遠の忠誠を誓います!」
 1列に並んだ園児たちの前に立つ副園長先生がマントを付けたハラマキレディースのリーダーへと報告する。園児たちは男女ともに子どもには過激すぎる切れ込みの入った女性用水着を着用し、文句の1つも言わずにじっとハラマキレディースを見つめる。それは副園長先生のヒョウ柄ハイレグを見て静まりかえった時とは違った。自分たちが更に切れ込みが深く入った水着を着せられていることもむしろ誇らしそうだった。先生2人もそうだった。まつざか先生も副園長先生の姿を間違っても哀れだなんてもう全く思わない。早く地球人全員が自分たちと同じ姿になるべきで、そうなって欲しいと思っていた。副園長先生とまつざか先生は互いにハミ出した恥毛など存在していないかのように放置したまま直立不動の体勢で異星人を見る。その状況だけを見てもその場の上下関係はハッキリとしていた。
「ふたば幼稚園? ここはアクション仮面の関連施設ではないの?」
「はい! 憎きアクション仮面とは一切無縁でございます」
 副園長が答えるとハラマキレディースはがっかりした様子を隠さなかった。
「もうここに用はないわね。行くわよ」
「「ラジャー」」
 低いトーンでリーダーが言うと、同じく元気なく2人が返事する。
「ハラマキレディー様とパンスト兵様をハイグレを捧げてお見送りするのよ! ハイグレェ! ハイグレェ! ハイグレェ!」
 副園長先生がハイグレ人間たちに呼びかける。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「ハイグレェハイグレェハイグレェハイグレェ」
「はいぐれっはいぐれっはいぐれっはいぐれっ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレェハイグレェハイグレェハイグレェ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 飛び立つハラマキレディースとパンスト兵へ向けて全力のハイグレを捧げるハイグレ人間たち。やがて彼女たちの姿が見えなくなってもハイグレ人間たちの動きが止まることはなかった。ふたば幼稚園のプール授業は中止され、代わりに侵略者であるハイグレ星人に忠誠を誓うことにハイグレ人間たちは時間を費やすことにした。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「ハイグレェハイグレェハイグレェハイグレェ」
「はいぐれっはいぐれっはいぐれっはいぐれっ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレェハイグレェハイグレェハイグレェ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」


 春日部の上空——。
 無駄な時間を費やすことになってしまったハラマキレディースは、少しでも遅れを取り戻すために再びオマルに跨って不審なものを探していた。
 すると聞き慣れた声が聞こえてきた。
「北春日部博士、見〜つけたあ〜っ!」
 小麦色の肌に筋肉ムキムキな男がノリノリで喋っているのを見つけた。
「あの様子だとTバック男爵の奴、北春日部博士を見つけたみたいですね」
 オレンジが悔しそうに言う。
 Tバック男爵は自分専用の飛行艇から降りてピンク色のバスに向かって話す。
「さあ、残ったもう1つのアクションストーンをおとなしく渡して貰おうか」 
 そしてTバックを履く腰の脇にしまっていたボーガンを取り出した。
「さもなきゃこいつをお見舞いするぜ!」
 しかし、バスからの返答はないようだった。
「どうしますリーダー?」
 紫が聞く。
「大丈夫よ。あんな力押しじゃアクションストーンは奪えないわ」
 そう言ってリーダーは目を閉じてしばらく考えた。
「あの乗り物はさっきの施設から出て行ったもののようね」
「まさかあのハイグレ人間たち我々に嘘を!?」
「いや、ハイグレ魔王様のハイグレ着せ替え洗脳銃の光線を浴びた地球人は個体差はあっても必ずハイグレ魔王様の忠実な下僕となるわ。あれだけの時間があれば洗脳は完璧だったはず……」
「ですが実際に……」
「よく見なさい。あの潰れた別の乗り物が北春日部博士のものよ。パンスト兵との戦いで壊れて乗り換えたんだわ」
「では……」
「ええ。あの乗り物で秘密基地に帰るつもりよ。そうなるとあのハイグレ人間たちも保護しようと施設に戻る可能性もあるわね……」
 リーダーは再び頭をフル回転させて作戦を練り始める。
「よし! さっきの場所へ戻るわよ!」
「「ラジャー!!」」
 ハラマキレディース3人とパンスト兵は幼稚園バスに先回りするために幼稚園へと飛んだ。
 
 ふたば幼稚園の園庭では全く同じ位置、ペースでハイグレ人間たちがハイグレを続けていた。疲れるどころか病みつきになっているようだ。先生2人はもちろん、園児たちもハイグレの虜にされすっかり洗脳されてしまっていた。下僕たちの目の前にハラマキレディースは着陸する。ハイグレ星人の予想外の再訪に動揺を隠せずハイグレ人間たちの動作のリズムが少しだけ乱れた。しかし、結果的にそれはあまり問題はなかった。リーダーがハイグレを止めるよう命じたからだ。
「静かにしなさい」
 ハイグレ人間達は瞬時に命令に従って、あれだけ夢中になっていたハイグレを躊躇うことなく止めた。
「ここを出発した乗り物にアクション仮面の一味である北春日部博士が乗り込んだことを確認したわ」
 リーダーの言葉に副園長先生の顔が凍りつく。
「そ、そんな……」
「念のため聞くけど、私たちを騙そうと嘘をついたんじゃないでしょうね?」
 オレンジが苛立ちを隠さず聞く。
「主人のバスがなんてことを……申し訳ございません……」
 まさかの展開に弱々しく謝罪する副園長先生。
「バスはこの幼稚園に通う子ども達を集めに向かっていました。アクション仮面の仲間なんて乗せる予定はありません」
 まつざか先生が代わって釈明する。
「私たちはハラマキレディー様によって身も心もハイグレ魔王様の下僕として生まれ変わることができました。私たちハイグレ人間にお手伝いできることがあれば何でも致します! なんなりとお申し付けください! ハイグレッハイグレッハイグレッ!」
「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ!」」」
 ハイグレ人間たちが忠誠を誓うポーズを捧げる。その顔は嘘をついているものではない。ハイグレ星人に完全服従させる洗脳は完璧だった。
 オレンジも紫も一応は納得した様子で、これからどうするかを伺うようにリーダーを見た。リーダーは少しだけ考えてから口を開いた。
「よしっ! ここ——」
 リーダーの言葉が止まる。そして教室の方を見た。部下2人もハイグレ人間も同じ方向を見る。誰もいない教室から、わずかだが何かがぶつかる音がした。
「捕えなさい」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 リーダーの短い言葉に真っ先に反応したのはまつざか先生だった。猛スピードで教室まで走り引き戸を開ける。靴も脱がずに教室に飛び込むと子どもの悲鳴が聞こえる。
「イヤですわまつざか先生! やめてください!」
 園庭へ戻ってきたまつざか先生の腕には茜色の制服を着た園児が抱かれていた。
「愛ちゃん!? たしか今日はお母様からお休みにするって連絡があったはずだけど……」
 服園長先生が驚いた様子で言う。
「お母様も黒磯もみんなあなた方と同じ格好にされてしましたわ! しん様たちがいると思ってここまで逃げてきたのに……失敗でしたわ」
「きっとしんのすけくんも今頃はハイグレ人間にして頂いてるわよ」
 まつざか先生はニヤけながらハラマキレディースの前に立つ。
「ハラマキレディー様、地球人1名を捕らえました。他に隠れている者は見当たりませんでしたが……」
「仲間がいるかは本人に聞くのが一番早いわ。さあハイグレ姿にしておしまい!」
「あいは決してあなた方になんて屈しませんわ!」
 そんな言葉を無視してまつざか先生がグラウンドに愛ちゃんを降ろす。逃げる間もなくパンスト兵による光線が彼女を撃ち抜いた。
「ああああああぁぁぁ……」
 大の字になって苦しそうな声を漏らす。
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 どんなに嫌がっていても茶色のハイレグ水着を着せられハイグレを開始してしまう。
「ご苦労だったわね」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 身に余るお言葉ありがとうございます」
 まつざか先生は汚名を返上することができて大満足の表情でお礼を言う。
「もう他に逃げいている仲間はいないわね?」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ。はい! 愛以外に建物の中にはいませんでしたわ。あああ……1人逃げ隠れて……あいはなんて愚かでしたの……もうハイグレ魔王様のために働く事以外考えられませんわっ! ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 必要な情報を吐かせた後、夢中でハイグレを繰り返す少女への興味を完全に失ったリーダーは本題に入る。
「北春日部博士は秘密基地に向かうつもりよ。それでだけど、そこのハイグレ人間」
 リーダーが人差し指で指名したのは、ついさっき愛ちゃんを捕まえたまつざか先生だった。
「ハッハイグレッハイグレッ!」
 園児を捕まえる時は機敏に反応したまつざか先生だったが、突然の指名に驚いて反応が遅れてしまう。
「スパイとして未転向者を装い北春日部博士たちに混ざって研究所に侵入するのよ」
 リーダが不敵な笑みを浮かべながら続ける。
「私たちもパンスト団を連れて後を追うわ。その間にアクションストーンの隠し場所を聞き出すのよ」
「アクションストーン……ですか?」
 幼稚園の先生だった彼女にとって初めて聞く言葉だった。
「アクション仮面をこちらの世界に呼び出し、力を引き出す厄介な石よ。既に本物はハイグレ魔王様がお持ちなんだけど、北春日部博士の隠し持っているスペアのアクションストーンも回収しろとの御命令でね。手伝ってくれるわね?」
「ハイグレッハイグレッ!」
 ガニ股になったまつざか先生に迷いはなかった。
「すべてはハイグレ魔王様のために!!」
 笑顔で侵略者の手先として地球を陥れるための任務を引き受けたまつざか先生。
 まつざか先生は紫色のシャツ、ベージュのハーフパンツと、転向前の姿へと着替え終えた。まつざか先生以外のハイグレ人間たちは建物の中へと移動させられ、園庭に彼女以外の姿はなかった。
「来たわ。行きなさい!」
 上空からのリーダーの指示を確認したまつざか先生は地球人のように、首を縦に1回動かして頷くと、一目散に道路へと飛び出した。
「止まって!」
 走ってくる幼稚変バスの前に立ちはだかるまつざか先生。バスを運転していた園長先生は慌てて急ブレーキをかける。車体は危うくまつざか先生を轢いてしまうギリギリ所で停車した。しかし、これがハラマキレディースの命令。彼女たちの忠実な下僕となったまつざか先生はためらうことなく飛び出した。自身の体の無事を安堵する暇もなく彼女は命令に従って演技を続ける。
「良かったぁ」
 目元に軽く涙を溜めてみながらバスを見上げる。
「まつざか先生!」
 園長先生とよしなが先生は彼女が飛び出してきたことに凄く驚いた様子だった。
 急いでドアを開けてまつざか先生をバスへと招き入れる。
「幼稚園で仕事をしていたらハイグレ星人に襲われて……」
 一字一句間違うことなく指示されたセリフを読み上げていく。ハイグレ星人様と言いたいところをグッと堪えて熱演する。
「誰なのあの人?」
「幼稚園のまつざか先生。性格が悪いから恋人が出来ないんだ」
 園児と少女のヒソヒソ話が聞こえる。一番厄介な子が乗り込んでしまっていた。質問に答えた野原しんのすけは、ふたば幼稚園でもナンバー1のトラブルメーカーだ。その隣の少女は……見覚えがある。そうだ、アクション仮面のパートナーの桜リリ子だ。彼女が自分へと向けている視線は間違いなく疑いに満ちたものだった。まだ子どもとはいえ、女は勘が鋭そうだった。細心の注意を払っていくことにしようと改めて気合いを入れ直し、未転向者を装う演技を続ける。
「ちょっと、聞こえてるわよ。そこ!」
 その言葉に2人は静かになった。
「まつざか先生、私の……私の妻は?」
 園長先生から予定通りの質問が出る。ここで答えを間違えたらハラマキレディースの考えた素晴らしい作戦が水の泡になってしまう。まつざか先生は悔しそうな顔を作り言葉に力を込める。
「副園長先生はハイグレ星人によってハイレグ姿に……!」
「あの年で……あわれな」
 ハイグレ星人を呼び捨てにすることと同じくらいハイグレをハイレグと呼ぶことには抵抗があった。地球に存在するような安っぽい水着と一緒にされたくない。自分たちが着ているのはハイグレ魔王から授かった神聖な服なのだ。ハイグレを着てハイグレ魔王に忠誠を誓う下僕。それが自分たちハイグレ人間。副園長先生もその神聖なハイグレを着ているのだ。「副園長先生のハイグレ姿を馬鹿にするな。この地球の支配者になるハイグレ魔王様に抗い無駄な抵抗を続けるお前たちこそ哀れな存在だ」と彼女のことを哀れと言い放った園長先生に対して言ってやりたかったが、侵略者への忠誠心がぐっとそれを飲み込ませた。
「私がついていながら……」
「いや、君のせいじゃないよ」 
「あ、ところでこのバスはどこへ向かっているんですか?」
 不快な会話が長引く前に本題を切り出す。北春日部博士の秘密基地に向かっていれば作戦は一気に成功に近づく。
「う〜ん……一体どこへ行けば……」
 園長先生の様子だと本当に場所の相談はしていなかったようだった。
「私の秘密研究所に行ってくれたまえ。そこなら安全じゃ」
 リリ子の隣に座っていた老人が手をあげた。この男が北春日部博士だとまつざか先生は確信した。自分から秘密基地の場所を教えてくれる提案をしてくるなんて、このチャンスを逃さない手はなかった。
「まあ、それは素晴らしいわ」
 彼女の言葉も後押しして、その案に異論出ず、幼稚園バスは北春日部博士の秘密研究所へと向かうことになった。
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非公開コメント

ありがとうございます

もう。。最高です。。
こうなってほしいなぁっていうのが全て盛り込まれてる感じがして凄いなって思いました!
原作のいろんなパターン、アナザーストーリー期待してます!!!

>>ひろさん
コメントありがとうございます!
やっぱりみんな求めてるものは同じなのですね(`・ω・´)
純粋に俺もこうなって欲しいと思っているものを書かせていただいています(*´д`*)
研究所はきっとみんな思い入れがあるシーンですし、沢山妄想されてきたシーンだと思っています
後編も近いうちに公開できると思いますので、よろしくおねがいします

お疲れさまです

いつも楽しく読ませていただいてます。
後編では「ハイグレ軍」になかったキャラクターのハイグレ洗脳ビフォーアフターが読めると思って楽しみです。
特にハイグレ人間になった妻を哀れと言った園長先生がどう堕ちるのか興味深いですね。後編を全裸待機してます。

>>リリさん
コメントありがとうございます
研究所はメインであり、まつざか先生最大の見せ場ですから気合を入れて頑張っています
それが故にもう数回ほど書き直しや修正をしていて公開が遅れてしまっています……申し訳ないです(´・ω・`;)
園長先生も含めてもうしばらくお待ち下さい……
あ、あと風邪にはくれぐれもお気をつけくd(黙

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ハイグレ

体調大丈夫でしょうか?

Re: ハイグレ

> 体調大丈夫でしょうか?
ご心配おかけしました。今日の午前中には後編の投稿できる予定ですので是非お楽しみください
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ぬ。

Author:ぬ。
本家でもちょっとだけ活動させて頂いてました。初のブログですが色々とチャレンジしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ハイグレ、ハイグレ、ときどきアップル。

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