ハイグレクエスト 第4話

 予告しておいて間に合わない……。そんなことにならなくて良かった……。
更新量が控えめなのはキリが良いからですよ? 決して……まあいいか……。

それではどうぞ(`・ω・´)




 今日はとても疲れた。この世界の右も左もわからない勇者と出会い、ソウスシティまで歩き、神殿で伝説の剣の話を聞いた。街では2回も体当たりを受けた。しかも自分より年下で先輩の天才少女に——。
「ちゃん。——ちゃん」
 眠りを妨げる何者かの声。疲れたと言っているのに……。
「リンちゃん!リンちゃん!」
 レナの声は小さくなるどころか、大きくなり体まで揺さぶり始める。疲労困憊の体に鞭を打ち目を開けると、辺りはまだ薄暗い。まだ朝方のようだ。
「何よ……まだ寝させてよ……」
 リンは手を振り払って、寝返りを打つ。
「ボクに任せて」
 ルルが水色の札をリンのおでこに貼りつける。ルルが念を込めると、札は水へと変わり、リンの顔を濡らした。
「冷たっ!?」
 リンは突然の攻撃にベッドから飛び起きる。
「こんな時間にふざけるのもいい加減にしなさいよね!」
 リンは迷わずルルへと特攻し掴み掛かった。
「結界が破られた」
 胸ぐらを掴まれながらルルが短く言う。
「破られたって……神殿は!?」
「わからない。ソニアが様子を見に行ってる」
「わからないって……」
 リンは既に杖を手にしていた。結界は完全には壊れていない。一部が損壊しているようだ。
 一瞬で臨戦態勢に入った彼女を見てルルはわざとらしくため息をついた。
「ボクはすぐに気づいたけどね。ソニアも、レナまで嫌な感じがするって目が覚めたくらいなのに」
「眠かったんだから仕方ないでしょ!」
 リンがルルに杖を向けた。先端からわずかに黒い煙が吹き出している。
「それにソニア1人で神殿に行かせたっって本気で言ってるの?」
「私とルルちゃんは止めたんだけど、ソニアちゃんが土地勘がある方が良いからって————」
「勇者様なんて知らないって言って……キャアアアアアアアアアアア」
 突如1階から悲鳴が聞こえる。
 3人が慌てて階段を駆け下りると、1人の女性が緑色のハイレグ水着姿になっていた。
「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」
 レナたちを快く泊めてくれた宿の店主であり、ソニアの育ての親のメルシたった。透き通るような黄金色の髪と、豊潤な胸が惜しげもなく揺れていた。
「リーダー!奥からまた出てきましたよ」
 水色の肌に黄色いバスタオルのような格好の3人組。レナよりも彼女たちの方が異世界人にふさわしい姿だった。
 リーダーと呼ばれていた3人の中で唯一赤いマントを着用した女が、レナを瞬きひとつするこなく睨みつける。
「確かに1人だけ浮いてるわ。あなたが勇者ね?」
「あなたたちは誰!?」
 レナが逆に聞く。この3人組に浮いていると言われると少しショックだった。
 3人は、赤マントを中心に並び、扇状に開くポーズをした。
「ハラマキレディース、参上!!」
 派手な自己紹介を終えた彼女たちは、素早くもとの体勢へと戻り、本題へと入る。
「さあ、アクションソードを渡しなさい」
 リーダーは威圧感のある声で言った。
「誰がアンタたちに——」
「嫌だね!誰がお前たちに渡すものか!」
「ちょっと!今それ私が言おうとしてたじゃない!」
「ボクだって言おうとしてたんだよ」
「そんなこと言ってる場合じゃ……」
 突如始まった小競り合いをレナが収めようとする。
「リーダー、剣を持っている様子はないですけど」
 そんな様子を眺めながらオレンジ色の髪のハラマキレディーが言う。
「まだアクションソードを手に入れてないのかしら」

「一応聞くけど、なんでアクションソードの事を知っているんだい?」
 ルルの質問がする。しかし返ってくる答えの予想はついていた。
「あなたたちの元御主人様が教えてくれたわよ」
 やはり想像通りの答えだった。
「ボクたちの元御主人様がお前たちのご主人様に喋ったってことね」
 ルルの言葉など聞こえていないようにリーダーが得意気に続ける。
「確かこう言ってたかしら。アクションソードと勇者が最後の砦。アクションソードは———」

「———アクションソードは月の神殿に封印されている王家に伝わる秘宝です」
 ハイグレ人間となったサーラは、王室でハイグレ魔王の質問に答えていた。
 ハイグレ魔王はピンク色のハイレグ水着の上に黒いマントを羽織り、不気味な笑顔の仮面を付けて、玉座に座っていた。
 床に額をこすり付けるように平伏したサーラの後ろには、ハラマキレディースがその様子を見守っている。
 サーラは王家に伝わる秘密を、ハイグレ魔王が知ろうとしたことは全て吐き出した。異世界から勇者を召喚できること。ルーナが既に勇者を1人召喚した可能性があること。勇者の武器であるアクションソードが月の神殿に封印されていること。アクションソードに秘められた能力……。
 彼女はこれが自分に出来るせめてもの罪滅ぼしだと考えていた。ハイグレ人間になった国民たちはハイグレ魔王、その部下たちの下僕として精力的に働いている。サーラは元国王として、彼らの働きが僅かレグロー征服計画の役に立っている事を願っている。そして、その働きを無駄にしないために、自分にも出来ることは全て行う。
「さすがは女王様ね。いらない情報も多かったけど、厄介な剣の存在が分かったのは助かったわ」
 ハイグレ魔王に直々に言われ、サーラの頬は紅潮していたが、彼女の顔は床にぴたりとくっついていたため、それに気付く者はいなかった。
「これからも何なりとお申し付け下さい。私はもう女王でなく、私は、ハイグレ魔王様に全てを捧げたハイグレ人間ですから」

「ホーッホッホッホ!いいでしょう。御下がりなさい」

「ハイグレ、ハイグレ。失礼致します」
 サーラはハイグレポーズを行った後、深く頭を下げ、退室していった。もうそこに女王の威厳は微塵も残っていなかった。


「サーラ女王様がアンタたちの言いなりになってるのは、変な術で操られているからでしょ!」
 リンが耐え切れずに叫んだ。勢いでリーダーに杖を向ける。
「威勢が良いわね。でも、ハイグレ人間になっても同じことが言えるかしら?」
 リーダーが水鉄砲のような小さな銃をリンに向ける。
「ぐっ……」
「女王様でも勝てなかった快楽に打ち勝てるかしら?」
「ハイグレ人間になった後で謝ってきても許してあげないかもしれないわよ?」
 両脇の2人も面白そうに笑っている。
「リン、まともにやっても勝てない。ここは逃げ切ることを考えよう」
 小声でルルが耳打ちする。彼女の手にも沢山の呪符が握られていた。
 ここでやられてしまっては意味がない。自分たちの使命はアクションソードの封印を解き、レナと共にハイグレ魔王を倒すことだ。
「ハイグレ姿になっておし……まあいいいい〜……」
 引き金を引く直前、銃を構えていた3人組は揃ってヘナヘナと腰を付いた。
「ベル様が街の出口で待ってる!急いで!!」
 崩れ落ちた女たちの後ろに立っていたのは、教会へと行っていたソニアだった。
「一応」
「念の為」
 リンとルルはハラマキレディーが手にしていた銃を蹴り飛ばす。
「ちなみにコレは何の術かけたの?」
 ルルが言葉を失いうずくまる3人を見ながら言う。
「全身くすぐり魔法。そんなに長い間効果は続かないから気を付けて」
「へえ……地味に辛そうだね……」
「ベル様を待たせるわけにはいかないわ!行くわよ!」

「ま……イヒヒッ待て……アヒッ」
 発作のような裏声を必死に抑え、リーダーが立ち上がろうとするが、すぐに崩れ落ち、クネクネと地面を這いずり回るだけだった。
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Author:ぬ。
本家でもちょっとだけ活動させて頂いてました。初のブログですが色々とチャレンジしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ハイグレ、ハイグレ、ときどきアップル。

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