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クレヨンしんちゃん ハイグレ魔王とシモベたちの逆襲! 第5話


毎度ありがとうございます。ぬ。です
ありがとう『平成』
こんばんは『令和』
ということで、新元号のお供にハイグレSSを。
おめでたい今日の良き日にシモベ達の逆襲の第5話を投稿させていただきます
また、累計100拍手を突破致しました。大喝采をありがとうございます!

投稿済みの1〜4話に併せて、今回投稿する5話もたっぷりとお楽しみください!

それでは…令和イッパツ目の…どうぞ!( ・`ω・´)











 待ちに待った新たな服。体に貼りつくハイグレを愛でるように撫でる。胸板、お腹……艶はないがスベスベとした気持ちの良い生地。さらに一段下にある股間の膨らみを触る。伸縮性のある薄い布を挟むことで生まれる柔らかな感触が心地よかった。去年授かったハイグレには遠く及ばないが、みさえの水着と比べると段違いの出来だった。

「あっみさえの水着……!」

 あの日、着心地の悪さに怒りのあまり投げ捨てた水着をゴミ箱の中に放置しっぱなしだったことを忘れていた。慌ててゴミ箱を覗き込む。箱の中身は空っぽだった。ティッシュひとつ残っていない。理由はたった一つだけ、妻のみさえがこの部屋を掃除した以外には考えられなかった。不自然に破れクシャクシャに丸められた自分の水着を見て妻はどう思うだろうか。ましてやそれが夫の書斎にあっただなんて……。その場しのぎの言い訳が脳内に浮かんでは消えていく。女性用の水着を着た中年男性が顔を真っ青にしながら夜中にひとり狼狽えている姿はシュールや無様といった言葉を通り越えて悲しささえ漂っていた。



「ホホホ……その格好でマヌケな行動をするのは控えなさい」

 頭の後ろから聞こえる声。部屋の中央に誰かがいる。家族ではない。でもどこかで聞き覚えのあるような、安心感のある柔らかい声だった。
 振り返ると黄色と青の仮面を被った人物が立っていた。漆黒のマントで全身を覆っている。初対面だったが、ひろしはこの人物が誰なのか一目でわかった。ハイグレ光線によって刻まれた記憶が蘇った頭が彼がするべき行動を瞬時に指示する。

「ハハーッ! 申し訳ありません。ハイグレ魔王様!」

 固いカーペットの上にひれ伏すハイグレ人間。ハイグレ魔王は従順に調教されている奴隷をじっくりと眺める。自分が与えたハイグレでなければ、光線による洗脳も解けていることは一目でわかった。それでも懐しむようにハイグレ魔王は床におでこを擦り付けるひろしの姿を見つめていた。
 頭を上げる許しを貰えるまで静かに伏したままのひろし。5分以上経ってからやっと許可が下りた。

「またハイグレ人間に目覚めるなんて、お前も悪運が強いわね」
 ゆったりとしたスピードでハイグレ魔王が話し始める。
「あちら側の地球でもフラッシュバックの症状は数件確認されてるようだけど、まさかこちら側での唯一のハイグレ人間がその症状を起こすとはね……」
 魔王は同情するように一度天を見上げた。

「フラッシュバックが起こると北春日部博士の技術で専門的な治療が行なわれているみたいよ。でも、こちら側の地球人はそんな処置は受けられない。ただ不完全なハイグレ人間の地球人として苦しみ続けるのよ」
 何かを言おうとしたひろしを手のひらで制する。青く透き通るような肌が薄暗い夜の部屋に映えていた。

「だ・か・ら。アタシはお前に確認をしに来たの。お前たちのおかげでアタシの地球征服計画は失敗に終わったわ。私も1度は男らしくスッパリと諦めたのよ。でも、やっぱりダメ。何としてでも地球をアタシのものにしたい。地球を支配して、地球人も全員ハイグレ人間にしてアタシの奴隷として働かせたいの!」
 たった1人のハイグレ人間に対しての演説は続く。

「未練がましくて男らしくないかしら? 悪いわね、アタシはオカマなの。オカマの心は移ろいやすいのよ」
 青い腕が仮面へと伸びる。腕同様に細長い指が仮面を外した。整った端正な顔立ちの男が笑っていた。中性的な顔立ちは女性と見間違えるほど美しかった。

「ハイグレ魔王様の望みが我々ハイグレ人間の望みです」

 ハイグレ魔王の目をまっすぐ見ながら、ひろしは侵略者へ全面協力することを宣言した。すぐさま立ち上がってガニ股なる。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ!」

 満を持してひろしはハイグレ魔王へと忠誠を誓った。

「その格好で言われても気分が乗らないわ」
 ハイグレ魔王は玉袋がハミ出しても真剣な顔つきで全く気にしてない中年男に不機嫌そうに言った。仮面を外した手を今度は頭上に掲げ、小指を立たせる。指の先にはピンク色の光の玉が発生した。

「美しいハイグレ人間に戻りなさぁい」
 光は線となってまっすぐひろしへと伸びていった。

「だあぁ!!」

 突如放たれた光線を浴びてひろしの目の前は真っ赤になった。全身を光に包まれて、自然と体は大の字になる。痛みや苦しさはなかったが、着ていた水着が変化していくのはわかった。まるで高級オーダーメイドのスーツのように体にフィットしていく。包み込むものがなくて生地が余っていた胸も、逆に男にしかないものが想定されず窮屈だった股布も体に合わせて伸縮されていった。

「ああぁぁ……」

 光から解放されたひろしは体の自由を取り戻した。乳首が浮かぶほどぴっちと調整された胸元を見る。大人マンモスは優しく股布に全身が包まれていた。試しに両腕を上げてみたが動きやすい。水着が体を無理に引っ張るようなことはない。だけど与えられる絶妙な締め付けが心地よい。ハイグレ人間にとって最も重要な動きの確認をするためガニ股になった。
「ハ、ハイグレッ!」
 腕を引き上げ股間を強調する体勢になって、ひとつ大きなため息を漏らした。

「これだ……俺が求めていたのはやっぱりコレだ……。ハイグレッハイグレッハイグレッ!」

 研究所で味わった満足感が再び全身を満たしていく。ハイグレ魔王への忠誠心に呼応するようにハイグレは体の一部のように体に吸い付いてくる。自分の頭よりも体よりも纏うハイグレの方が序列が高いと教えてくれる。説得力の高い刺激を断続的に与えられ、肉体的にも精神的にもハイグレに屈服して全てを委ねのだ。ハイグレに従うことはハイグレ魔王に従うことど同義であり、最下層であるハイグレ人間にとってふさわしい状態だ。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ。ハイグレ人間・野原ひろし、再転向が完了しました。ハイグレ魔王様の素晴らしい計画のため手となり足となり働きます。何なりとご命令下さい」

 一度は息子とアクション仮面によって洗脳から解放されたひろしは、身も心も再びハイグレに染め上げられた。彼は正式なハイグレを着用して改めて床にひれ伏した。今度は真似ごとではない。真の忠誠をハイグレ魔王へと誓った。



 従順に床へと平服する男の情報は既に隅々まで調査済みだった。男の名前は野原ひろし。埼玉県春日部市に住む平凡なサラリーマンで妻と息子と娘の4人家族。しかし、普通じゃない経歴がある。1年前のパラレルワールドの地球でのハイグレ人間への転向歴だ。北春日部博士の研究所内で大勢の地球人と共に転向していた。息子の野原しんのすけはアクション戦士としてアクション仮面とともに戦って勝利を収めている。つまり地球征服計画を阻止するために送り込まれたアクション戦士の父親だ。野原ひろし自身に特別な能力は認められず洗脳レベルも良好だったという。現に今もハイグレ魔王の目の前でハイグレ人間らしい行動を続けている。フラッシュバックを起こしたのもハイグレ光線との相性は良好そうだ。この地球で唯一のハイグレ人間であり、有効に活用する予定だったが、問題なく利用できそうな様子だ。

 ハイグレ魔王は野原家の大黒柱に無慈悲な命令を下す。

「お前にハイグレ銃を預けるわ。これで家族全員をハイグレ人間にするのよ」

 声に反応して顔をあげたひろしの目の間に片手で持てる光線銃が出現した。ガシャンとおもちゃの見た目通りの音をたてて床へと落ちた。

「1人も逃すんじゃないわよ。必ず家族全員をアタシのしもべへと変えなさい」

 非情な命令を受けて、ひろしは鋭い目つきに、口を一文字に閉じたまま立ち上がってハイグレ魔王と同じ目線になった。2人は目を合わせたまましばらく見つめ合う。睨みつけるような視線に対し、ハイグレ魔王はにこやに笑っている。やがてひろしの目線が低くなった。深く膝を折ってガニ股になっていた。

「ハイグレッハイグレッ。ハイグレ人間にとってハイグレ魔王様のご命令は絶対です。必ずや私の家族をハイグレ人間にしてみせます! 全ては偉大なるハイグレ魔王様のために!」

 床に転がっていたハイグレ銃を拾い上げると、服を着ることなくひろしは階段を降りていった。






 時計は既に夜の1時を指していた。物音を立てないように慎重に寝室を目指す。まずは誰から撃てば良いだろう。ひろしは頭の中で何度もシミュレーションをする。みさえの動きを封じてから子どもたち2人を転向させるのが無難だろう。でも、しんのすけとひまわりの行動は親でも予測不能なことが不安要素だった。だからといって先にしんのすけたちを確保しても、情けないがみさえと対峙して勝つ自信はない。みさえの転向が早めに完了すれば、子どもたちを捕まえる戦力にもなる。やっぱり一番最初に彼女に光線を浴びせよう。
 かつての一家の大黒柱は、侵略者の手先となって家族へと洗脳銃を向けようとしていた。ハイグレ魔王に絶対服従を誓う自分と同じ最下層のハイグレ人間へと変えるために。
 居間を抜けてキッチンへと入る。椅子や家電製品にぶつからないよう慎重に歩を進める。奥の扉の向こうが寝室だ。みんなちゃんと寝ているかを少しだけ引き戸を開けて確認してみる。5センチほどゆっくりスライドさせる。暗くてよく見えない。もう5センチだけスライドさせる。パジャマ姿で立つみさえの姿が見える。
「!?」
 なんでみさえが起きてるんだ!? 反射的に思いっきり扉を閉めてしまった。大きな音が家中に響いた。起きてただけじゃない。扉の向こう側で仁王立ちしていた。ひろしの背筋が冷たく凍り付く。冷や汗が頬を伝ってハイグレへと吸い込まれていった。ひろしが開けずとも、寝室の扉が開かれる。まるで地獄の門が開くようだった。しかし、ビビってばかりではいられない。ひろしには命に代えてでも成し遂げねばならない重大な命令があった。意を決してハイグレ銃を扉へと向ける。みさえの姿が確認出来しだい光線を打つ。ハイグレ人間にしてしまえばどうにでもなる。次の瞬間、ハイグレ銃は宙を舞った。ひろしは考えの甘さを思い知った。みさえは巨大な箒を巧みに操り先手を仕掛けてきた。寝室の布団の上へとハイグレ銃は弾け飛んでしまった。一瞬で無防備になったひろしは為す術もなく首元に箒を突きつけられた。みさえの足元には2人の子どもたちの姿も見えた。
「やっぱり洗脳状態に戻ってたのね」
 みさえの声は震えていた。
「あなたの部屋で私の水着を見つけた時、ただの変態行為をしてただけだとも思ったの。でも、一緒に捨てられた通販カタログのハガキがなくなってた。まさかと思いながら、その後に届いた荷物を確認させてもらったの。荷物の中身は今着ているその水着よね?」
 やはり荷物の中身を見られていた。もう少し警戒するべきだった。
「水着を頼んだのは事実だが、これは違う。これはハイグレ魔王様から頂いた正真正銘のハイグレだ」
 ぴっちり体にフィットしたハイグレを見せつけるように説明する。肌着よりもずっと体の線や凹凸が強調された夫の体を見ても、みさえは全く聞く耳を持ってくれていない様子だった。やはりハイグレ人間になったことのない人間には理解できないようだ。ハイグレ銃さえ手元にあれば言葉よりも簡単にわかってもらえるというのに。銃は寝室の布団の上に落ちていた。

「今のあなたは本当のあなたじゃない。悪いけど洗脳を解く方法を見つけるまで大人しくしていてもらうわよ」
 みさえの手は震えていた。喉元に向けられたわずかに箒の先がチクチクと刺さる。

「待ってくれ……俺はただハイグレの素晴らしさを理解して欲しいだけで……」
「問答無用!」
「へぼぉ!!」
 鋭い箒による張り手が頬に炸裂する。目の前に星が舞い床へと膝を付く。キッチンのテーブルに体を支えてもらいながら頬をさする。我が妻ながら流石のパワーだ。これは手加減なしで戦わないと命すら危ないかもしれない。ハイグレ魔王の命令を遂行するためなら家族が傷つくことも仕方がない。夫として父として家族を愛しているが、その前に自分はハイグレ人間なのだから。

「みさえ……大人しくしてもらうのはお前の方だッ!?」
 立ち上がろうとした瞬間、脳天に箒が振り下ろされる。ここまで容赦ない攻撃を加えてくるとは恥ずかしながら想定していなかった。ひろしは呆気なく床に突っ伏した。
「うう……」
 頭頂部から突き刺さる痛みに思わず涙が出てくる。ハイグレ銃が落ちた場所を見るとひまわりの姿があった。おもちゃと勘違いしているのか銃を抱きかかえている。あの銃さえ手に入れば……。

「ひまわり……ハイグレ銃を……俺に……ぐえ」

「赤ん坊にまで何を言ってるの! あの銃は私が預かります」
 みさえはひろしに最後の一撃を与えて黙らせると、箒を置いてゆっくりと幼い娘のもとへと向かった。
「さあ〜ひまちゃん。それをこっちに渡しなさい」
 みさえがひまわりの銃を掴む。
「たいたい!」

 しかし、ひまわりはこれを拒否した。ぷいっと後ろを向いてしまう。

「コラッ、わがままいわないの。それはとっても危ないものなのよ!」
 うつ伏せになって頑なに銃を手放そうとしない。ただ、みさえも必死だった。この洗脳銃さえ奪ってしまえば、ひろしを完全に無力化することが出来る。

「いい加減にしないと怒るわよ!」
 両手を振り上げて、全身で取り押さえようとした瞬間。
「たいっ!」
「えっ!? いやああああああああああ!!」

 小さな指によって引き金を引かれた光線銃は真っ直ぐにピンク色の光線を発射した。放たれた光線は銃口の正面にいたみさえへとクリーンヒットした。
 銃が光ったと気付いたが、体が怪行動を取るよりも早くハイグレ光線がみさえの腹部へ到達した。年甲斐もなく甲高い悲鳴がこぼれて、大の字に体が開いてしまう。直前まで着ていたパジャマの感触はなくなっていた。おそらく下着も消えている。新たに何かが胸やお尻を覆っていく。その正体が向こう側の地球では逃げ切ったハイレグ水着であることは予想できた。あれから1年の時を経て、まさか自宅の寝室でハイグレ人間になるなんて考えもしなかった。それも娘に光線を打たれてだなんて誰が想像するだろうか。

 苦悶の表情を浮かべているが、みさえは光線の拘束から解放された。紫色のハイグレ姿になった彼女は、娘の正面でガニ股になった。後ろでは息子のしんのすけと、夫のひろしもみさえが変貌した姿を眺めている。

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」

 家族の前でみさえはハイグレに屈した。ハイグレ人間となった夫を圧倒的な力の差を見せつけ制圧するも、赤ん坊の放った光線1発に負けてしまった。体だけでなく心も侵略者の最下層の奴隷へと作りかえられていく。

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」

 必死の抵抗も虚しく腕も口も勝手に動いてしまう。まるでもう自分の体じゃないみたいだ。ハイグレを1回、また1回と繰り返す度に着実にハイグレへの嫌悪感が薄らいでいく。1分ほど経つ頃には心地よさすら覚える段階までハイグレが脳内へと侵食しはじめていた。

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」

 あっという間にみさえは自らの意思で腕を動かし、口は「ハイグレ」と発していた。

 ひろしは床に這いつくばりながら妻のハイグレポーズに見入っていた。胸は控えめでお尻も大きいが、やっぱり脱いだら凄い。これからはハイグレ人間としてしっかりその身を捧げてくれることだろう。未だに鈍痛がの残る頭を起こして、ひろしが叫ぶ。

「みさえ! しんのすけを捕まえろ!」
「ハイグレッハイグレッ! 全てはハイグレ魔王様のために」
 みさえは冷蔵庫の前に立っていたしんのすけのもとへと走る。
 しんのすけはキッチンの椅子とテーブルの下へと逃げ込んだ。5歳の幼稚園児の目には侵略者の手先へと変貌してしまった母親はひどく恐ろしく映った。
「うおおお……」
「いで!?」
 うつ伏せになるひろしの背中を踏み台にしてリビングのテーブルの下へと逃げる。
「待ちなさい!」
「うご!?」
 みさえも床に寝ている夫を踏みつけてリビングへダッシュする。
「アンタもハイグレを着なさい!」
 しゃがみ込みテーブルへと腕を伸ばすみさえ。しんのすけはテーブルの下から抜け出すと、リビング内を走り回り逃げ回った。






「はいぐれっはいぐれっはいぐれっはいぐれっ」
 長期化すると思われた鬼ごっこはあっさりと決着がついた。テーブルの下に脱ぎ捨てられたひろしの靴下の存在が決めてとなった。耐え切れず抜け出したしんのすけはあっという間に捕獲された。みさえの腕の中で激しく暴れていたしんのすけだったが、必殺グリグリ攻撃を受けて大人しくなった。妹に光線を浴びせられ、アクション戦士としてハイグレ魔王をアクション仮面と共に倒した少年はハイグレ人間へと生まれ変わった。

「はいぐれっはいぐれっはいぐれっはいぐれっ」

 赤いハイグレ人間となったしんのすけは、アクション戦士だったとは思えないほど楽しそうにハイグレを繰り返していた。


「ご苦労だったわね」
 リビングに響くゆったりとしたオネエ声。反射的にハイグレ人間たちはガニ股になった。既にハイグレポーズを行っていたしんのすけは体を声の主へと向ける。
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「はいぐれっはいぐれっはいぐれっ」

 ハイグレ魔王はしもべたちのハイグレを上機嫌で眺める。地球征服計画の失敗の原因が揃って自分へと忠誠を誓っている。アクション戦士もハイグレ人間にしてしまえばもはや脅威ではない。ハイグレ人間となった以上はたっぷりと利用させてもらおう。

 「たいっ!」
 3人のハイグレ人間のもとへ、赤ん坊がやってきた。ハイハイで机の下をくぐり、しんのすけの隣に座る。
「たいたいったいたいったいたいっ」
 ハイグレ魔王の立つ方向へと開脚して、両手で股のあたりを懸命にこすり始めた。
「まさかハイグレをしてるのか? さすがは俺の子だ!」
 ひろしが誇らしげに娘を見る。                              

「ホホホ……この赤ん坊はハイグレ人間の血が入っているのね。本能的にハイグレを受けれいているわ」
「たいたいったいたいったいたいっ」
 ひまわりは目を輝かせながらハイグレ魔王へと股間を向けている。 
「いいわ。ハイグレにおなりなさい」
 ハイグレ魔王の突き立てた小指から赤光線が発せられ、ひまわりを優しく包み込んだ。





「ハイグレ人間たち、そこへお並びなさい」

「ハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッ」
「はいぐれっはいぐれっ」
「はいぐえっはいぐえっ」

 すっかり身も心もハイグレ魔王の言いなりとなった4人は、一切抵抗することなく整列した。薄暗いリビングに並ぶ4つの影。左側からひろし、しんのすけ、ひまわり、みさえの順番で並んでいる。ひまわりもハイグレ人間となり、ハイグレをしながら歩き、ものに掴まることなく立ち続けている。時計の針は4時を指している。従順に直立して視線はハイグレ魔王を見つめている。ハイグレ魔王がハイグレ人間の列の前をゆっくりと横切ると、しもべたちの目も魔王を追った。おもちゃで遊ぶように3往復ほどしてから、ひろしの前で止まった。

「残念だったわねえ。せっかく元の姿に戻れたのに、またハイグレ人間になっちゃって」
「ハイグレ、ハイグレ。私は自らハイグレ人間に戻ることを望みました。再びハイグレ人間としてハイグレ魔王様のしもべとしてお仕えでき光栄です」
 1年間恋い焦がれた念願のハイグレに身を包んだひろしは全てを捧げた支配者に感謝を伝えると、1人ガニ股になった。
「ハイグレ、ハイグレ、全てはハイグレ魔王様のために!」
 両腕を引き上げ股間を強調した体制のまま静止する。ハイグレ魔王は愉しげに何度も頷き、みさえの前へと移動した。紫のハイグレ人間へと生まれ変わった彼女を興味なさげに一瞥して天井を見上げた。
「桜リリ子とともに最後まで逃げ隠れた地球人……しかも別の地球まで逃げ帰ったのに結局ハイグレ人間になっちゃうなんて……なぁんて可哀想なのかしら?」
「ハイグレッハイグレッ! 私、野原みさえをハイグレ人間にしていただきありがとうございます。転向前に行った愚かな行為を猛省して、これからは心を入れ替え、偉大なるハイグレ魔王様のしもべとして絶対の服従を誓います。どうぞ、なんなりとご命令をお与えください」
 変わらず天井を見上げているハイグレ魔王に忠誠を誓うと、みさえもひろしと同じようにガニ股になる。
「ハイグレ、ハイグレ、全てはハイグレ魔王様のために!」
 夫と同じ状態になって動きを止める。入れ替えられた心が洗脳によって偽造されたものなどど気づくこともなく、みさえは恥ずかし気もなく支配者へと股を開き続けている。

「さぁて。お久しぶりね坊や」
 みさえを無視するように、ハイグレ魔王はさっさとしんのすけのもとへと向かった。
「はいぐれっはいぐれっ。おひさしぶりです、ハイグレ魔王様!」
 しんのすけは赤いハイグレ姿で元気よく挨拶を返した。
「正直あの時は完敗だったわ。でもやっぱり地球を諦めることはできなかった。だから、アタシの計画を打ち砕いたアンタは真っ先に始末しておかないとと思ったの。男と男の約束を破って、卑怯な手まで使って怒ってるかしら?」

「オラ、ハイグレ人間だからよくわかんない。ハイグレ魔王様は綺麗なオカマのおねーさんだから男と男の約束破っても、ひきょーな手を使っても大丈夫だゾ。今度はオラも一緒にアクション仮面をやっつけるから、地球征服計画は泥舟に乗ったつもりでいてください」
「ハイグレ銃を浴びて少しはマトモになったけど、やっぱりコイツ変なヤツね」
「変なヤツじゃないよ。オラ、ハイグレ人間・しんのすけだゾ! ハイグレッハイグレッ、全ては偉大なるハイグレ魔王様のためにっ」
 しんのすけは当然のように忠誠を誓うハイグレを行った。ハイグレ光線による思想の矯正によって、性格はそのままでも少年の根本的な価値観は洗いざらい書き換えられてしまっていた。

「そして……初めましてお嬢ちゃん」
「はいぐれ、はいぐえ」
 つぶらな瞳でご主人様を見上げるひまわりは、小さな体でできる限りのハイグレを行った。

「ホホホ……アタシは赤ん坊も老人も容赦しないわよ。地球人は全員ハイグレ人間となってアタシの前にひれ伏すのよ。ウフ……生まれた時から死ぬまでハイグレ人間……ハイグレ人間になる前の記憶がないのと、余計な記憶が残っているの……どっちがマシなのかしらね。まあ、しっかり働いてくれればアタシはどっちでも良いだけどね。ホーッホッホッホッホッ」

 ハイグレ魔王はガニ股で控えるハイグレ人間たちを見ながら気持ちよさそうに笑った。ハイグレ人間たちも部屋に惜しみなく反響する笑い声を心地よさそうに聞いている。

「これからお前たちには地球征服計画に協力してもらうわ。いいわね?」

「ハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッ」
「はいぐれっはいぐれっ」
「はいぐえっはいぐえっ」

 間髪入れずハイグレ人間たちから返事が返ってくる。

「子どもたちも危険を伴うかもしれないけれど、母親としては不満はないかしら?」
「ハイグレッハイグレッ。私たちはハイグレ魔王様の所有物です。ハイグレ魔王様のお役に立てるなら不満などありません。地球征服計画成功のために私たちはこの身を全て捧げる覚悟です。ハイグレッハイグレッ!」

「ハイグレッハイグレッ」
「はいぐれっはいぐれっ」
「はいぐえっはいぐえっ」

 夫と子どもたちが続く。

「ホーッホッホッホ! 早速今日からこき使ってあげるわ! 覚悟しなさい!」

「ハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッ」
「はいぐれっはいぐれっ」
「はいぐえっはいぐえっ」

 前回の計画を失敗に陥れるほど引っ掻き回した地球人たちは、ハイグレ光線によってハイグレ人間としての価値観を完膚なきまでに叩き込まれた。過去に地球を救った一家であっても、ハイグレ魔王の強力な洗脳に抗うことは出来ず、支配者にとって理想通りに動く量産型の駒へと作りかえられてしまった。忠実な駒たちは使い捨てにされることも厭わず、ハイグレ魔王の作戦へと身を投じていくことになる。

「ハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッ」
「はいぐれっはいぐれっ」
「はいぐえっはいぐえっ」




第1章 -完-
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令和最初の更新ありがとうございます!
まさかの最序盤での野原一家全滅。
流石に予想外です。
第二部の展開が待ち遠しいです!

No title

第一章からまさかの展開。しんのすけの洗脳はあっても終盤だと思っていたので、驚きました。
次のハイグレ洗脳は誰になるのか、楽しみにしています。

新時代

こんばんは。
令和時代、最初の興奮がここで良かった。このタイミングでの更新を期待してました。早々の野原一家全滅は歓喜です。
魔王様、ハイグレの力は凄い。もう続きが気になって仕方ない。。拍手喝采です。新しい時代もあなたについていきます。

いつか、、

ぬ。さんが書いてくださっている原作SS を画像や動画で再現してくれる時がきたらいいですよね。。僕はパソコンないから何もできないけど、、
原作がらみが一番、結局抜けると思ってます

感想

どうも!神速の双劍です!
ハイグレ小説またかきはじめたんですね!
ぬ。さんの小説読んでいましたよ!ですが感想とか書けなくてすみません!
ボクも時間があるとこうやって書きにこれるのですが
何せボクはpixivで小説書いていましてなかなか時間がとれないもので
今回の小説良い転回でした!
ボクついさっきpixivでハイグレ小説投稿し終わったんです!
これから頑張ってください

No title

新作お疲れ様です。令和改元と同時に投稿とは、並々ならぬ気迫を感じます。
まさか、魔王様が登場されるとは……! ハイグレ洗脳が行われた地球とは別次元のお話だから悶々としたひろしが孤独に苦悩していくのかと思いきや、早速の邂逅という急展開に驚きっぱなしです。
そしてごみ箱の中身の伏線回収も緊迫感があって見事です。やはり前作で活躍した主人公が圧倒される展開は、いつ見ても熱くていい展開ですねぇ~。
今後野原一家から始まっていく洗脳は順調なのか、地球上唯一である「生まれながらのハイグレ人間」ひまわりの独自性はどう反映されるのか?
続きも楽しみに待ってます♪

Re

>マサクニさん
コメントありがとうございます
ミーハーなもので投稿するなら絶対にこのタイミングだろうと密かに狙っていました
内容的にも節目でしたが楽しんで頂けたようで良かったです
野原家の全滅は当初から予定していましたが、過去に序盤で全員を洗脳させるのは初の試みです
第2部での野原一家の活躍にご期待下さい!

Re

>FUKUさん
コメントありがとうございます
魔王様を倒した少年があっさりと魔王様の軍門に下る…無防備な状態ではさすがのしんのすけも魔王様には勝てませんでしたね…
さて、次の犠牲者は誰になるんでしょうねえ(ゲス顔)

Re: 新時代・いつか、、

>ひでさん
コメントありがとうございます!
新しい時代の興奮を秘密研究所のSSで味わって頂けて嬉しいです
魔王様の力にかかれば宿敵たちも忠実なしもべへと一瞬で変えてしまうのですね
動画や画像などはぬ。自身も色々試そうとしていますが、原作再現はなかなかの難易度ですね…
これからも勉強して文章力を磨き興奮していただけるSSを書いていけるよう頑張ります!


Re: 感想

>神速の双劍さん
コメントありがとうございます
最近はブログへと活動場所を移して小説を投稿しています
Pixivは縦書き投稿も出来て小説にもピッタリの場所ですよね
自分もなかなか時間が取れないものでpixivアカウントは放置気味です…
神速の双劍さんの作品を読ませていただきました!お互いハイグレ小説界を盛り上げていけるよう頑張っていきましょう!

Re

>牙蓮さん
コメントありがとうございます
改元と同時に投稿を密かに狙っていました
ひろしにはもっと悶々としてもらっても面白いかなと思いましたが、あの数日だけでも苦痛だったでしょうし魔王様に登場して頂きました
第一部のラストということで畳み掛ける展開になりましたが、野原一家が為す術もなく魔王様の手に落ちていく様は堪らないですよね笑
ひまわりは「はいぐれ」以外は話せないので、どんな活躍をしてくれるのか…ハイグレ人間のDeNADNAを唯一受け継ぐ女の子ですからきっと良い働きをしてくれると思います!
第2部も楽しんで頂ける内容になるように頑張ります!

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プロフィール

ぬ。

Author:ぬ。
本家でもちょっとだけ活動させて頂いてました。初のブログですが色々とチャレンジしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。ハイグレ、ハイグレ、ときどきアップル。あと野球。

※こちらに投稿作品をまとめてあります。こ利用ください
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プラネタリア戦記(仮称)

ツイッターとの連携で設置しています。なにかございましたらどうぞ
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